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PROGRAM/放送作品
復讐無頼・狼たちの荒野
熱血革命家とクールな外国人医師との宿命の関係をメキシコ革命を背景に描いたマカロニ・ウエスタン
マカロニにおける薄汚くて三枚目のメキシコ系ヒーローといえばこの人、トーマス・ミリアン主演。悪役に映画史に輝く大名優オーソン・ウェルズを迎えた、メキシコ革命もののマカロニ・ウエスタン。
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COLUMN/コラム2020.09.28
安易な理解を否定する、 オーソン・ウェルズ監督の悪夢のような映像とイメージが満載!
今回お勧めするのは、オーソン・ウェルズ監督の『審判』(62年)です。 これは有名な作家フランツ・カフカの同名傑作小説の映画化ですね。 監督のウェルズと言えば、映画史上の傑作のひとつ『市民ケーン』(41年) の監督です。彼は26歳で老新聞王ケーンを演じながら監督も兼任して、 様々な撮影テクニックを開発していま す。たとえば「パンフォーカス」。画面の近くにいる人物も遠くの背景にも同時にピントが合っているという肉眼 ではありえない映像ですね。 『市民ケーン』は、それ以降のあらゆる 映画に影響を与えたものすごい傑作ですが、アカデミー作品賞は獲れませんでした。ケーンのモデルは、当時の実在の新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストで、彼を茶化した内容だったため、ハーストが反『市民ケーン』キャンペーンを行い、アカデミー賞で9部門にノミネ ートされながら、脚本賞のみの受賞に終わっています。これ以降もウェルズはハリウッドでなかなか映画を作れなくなり、作品数は少ないのですが、ヨーロッパで撮ったのがこの『審判』です。 原作がカフカの小説だと聞くと、重々しい映画じゃないの? と思う人も多いでしょうが、これコメディです。 映画は「K」という銀行員。保険会社で働いてたカフカ自身ですね。彼は、ある日突然“起訴”されてしまいます。 何の罪でかというと判らないんです よ。判らないまま裁判にかけられて......という、本来なら怖い話ですが、 本作は怖さよりもシュールさが強調されています。ウェルズ監督が冒頭で「こ れは悪夢(の理論)である」と説明しているように、つげ義春の『ねじ式』みたいな映画になっています。 たとえば「K」が勤めている会社では地平線の彼方まで机が並んでいて、物凄い数の従業員がタイプライターを打ち続けているんです。CGじゃなくて 実際に何百人ものエキストラとタイプライターを集めて撮影しています。こうい うありえない悪夢的なイメージはテリ ー・ギリアムの『未来世紀ブラジル』(85年)に明らかに影響を与えています。 主人公「K」を演じるのはカフカに顔が似ているアンソニー・パーキンス。彼は本作の前に、アルフレッド・ヒッチコック監督の『サイコ』(60年)で 変態殺人鬼の役を演じて、世界中で大当たりしたために、その後は変態殺人鬼役ばかりオファーされたんですね。彼はそれが嫌でハリウッドからヨーロッパへ逃げ出して、そのころに出た作品です。 その「K」は次々に美女に誘惑されます。夢には願望が出てきますから。なかでもロミー・シュナイダーがやたらエロくて可愛くて困ってしまいま す。美女たちにキスされて、ふにゃふにゃと反応するアンソニー・パーキンスは『アンダー・ザ・シルバー・レイク』(18年)のアンドリュー・ガーフィールドそっくりです。 オーソン・ウェルズ自身も「K」の弁護士役で出てきます。「私に任せとけ」と言うだけで何もしてくれない、実にウェルズらしいインチキくさい役 ですね。 『審判』というタイトルは仰々しいですが、ダークでエロチックなコメディですので、リラックスして悪夢をお楽しみください。 (談/町山智浩) MORE★INFO.●1960年にオーソン・ウェルズが、独立プロデューサーのアレクサンダー・サルキンドから、パブリックドメイン(PD)の文芸作品から何か映画を作らないか? と持ちかけられたのがそもそもの始まり。●ウェルズはフランツ・カフカの『審判』の映画化に決めたが、後に原作はPDではないことが発覚、訴訟に発展した。●ウェルズは、主役に当初ジャッキー・グ リースンを求めていた。●ウェルズは映画中で11人の声を自ら吹替えている。●本作と『シベールの日曜日』(共に62年) で使われた『アルビノーニのアダージョ』は、そもそもレモ・ジャゾットによる偽作で、トマゾ・アルビノーニとは直接的に関係はない。 (C) 1963-1984 Cantharus Productions N.V.
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PROGRAM/放送作品
汝のウサギを知れ【町山智浩撰】
町山智浩推薦。デ・パルマのメジャーデビュー作を本邦初公開。題名も町山命名。炸裂するデ・パルマカット!
町山智浩セレクトのレア映画を町山解説付きでお届け。デ・パルマのデビュー作はコメディ。だが第1作冒頭から凝ったカメラワークは冴え渡る。70年代に流行した、資本主義競争社会からの「ドロップアウト」を描く。
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COLUMN/コラム2012.08.25
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年9月】大陸軍近衛軽槍騎兵第1連隊“ヴィスツラ・ウーラン”大尉 飯森盛良
イタリア・ソ連合作の歴史超大作。芝居がかったカリスマ性を持つ、スタミナみなぎるメタボ皇帝ナポレオン…ちょっと胡散臭い。権力の座から転落し、とにかく復権したくてアセりまくり、野望をギラつかせる。脂ぎったテカテカのロッド・スタイガー、いい! 一方、宿敵ウエリントンはお高くとまった嫌味な英国貴族の痩せ男。脂気が足らずパサパサした感じ。クリストファー・プラマーも上手い。2人ともデキる漢で2人ともイヤな野郎!でも対照的。この2人見ているだけで前半戦まったく飽きない。そして両雄が激突するワーテルロー、もう圧巻!ソ連映画らしい人海戦術で撮影された戦場の圧倒的規模感が凄すぎる!! 人間ドラマ、スケール、ニーノ・ロータの音楽(各国国家の「大序曲1812」的な使い方が巧み)、コスチューム、どれをとっても最高な、オールタイムmyベスト史劇。今じゃ絶対作れん。 (C) 1970 Dino De Laurentiis Cinematografica SpA, renewed 1998 International Picture Investments Limited. All Rights Reserved..
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PROGRAM/放送作品
審判(1962)【町山智浩撰】
町山智浩推薦。原作カフカ監督ウェルズ。悪夢的イメージと当時を代表する美人女優に溢れた、これはコメディ
町山智浩セレクトのレア映画を町山解説付きでお届け。カフカの不条理な小説を天才ウェルズが映画化。シュールで難解なアートフィルム!? いえいえ、これはコメディです!と言う、その心は?町山解説あわせて必聴。
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PROGRAM/放送作品
ワーテルロー
失脚、復活、そして大戦…皇帝ナポレオンの“百日天下”を、破格の製作費でスケール満点に描く歴史大作
フランス皇帝の座に復帰したナポレオンの“百日天下”を、2500万ドルという当時では巨額の製作費で映画化。総勢20万の大軍が激突したワーテルローの戦いを、ソ連軍の協力を得て圧倒的な物量で再現している。
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PROGRAM/放送作品
映像の魔術師 オーソン・ウェルズ
早すぎた天才の栄光と悲劇──映画作家オーソン・ウェルズが残した伝説を検証するドキュメンタリー
オーソン・ウェルズ監督の人物像を時代順に紐解いていくドキュメンタリー。ウェルズ本人の言葉、彼が手がけた映画の1シーン、さらにマーティン・スコセッシら現代の巨匠たちの証言を交えながら天才の真髄に迫る。
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PROGRAM/放送作品
審判
現実か悪夢か…平凡な男が直面する不条理を描いたカフカの名作小説をオーソン・ウェルズが映画化
フランツ・カフカの名作小説を、オーソン・ウェルズが現代に舞台を移して映画化。モノクロ映像の光と影をコントラスト満点に利かせながら、悪夢めいた近未来風の世界を幻惑的に描くウェルズらしい映像センスが光る。
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PROGRAM/放送作品
市民ケーン
天才ウェルズがその才能を如何なく発揮!「映画史上の最高傑作」とも評される不朽の人間ドラマ
「映画史上の最高傑作」とも評される、ある新聞王の一生を描いた重厚な人間ドラマ。舞台出身のオーソン・ウェルズは本作で映画デビュー。25歳にして製作・監督・脚本・主演を務めた。アカデミー賞・脚本賞受賞。
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PROGRAM/放送作品
偉大なるアンバーソン家の人々
オーソン・ウェルズ第2作。『市民ケーン』とは対照的なタッチで、一族の栄枯盛衰を描き上げた大河ドラマ
オーソン・ウェルズが長回しを多用し、壮大なストーリーの流れを巧みに映像で演出。およそ『市民ケーン』と同じ監督が撮ったとは思えないようなタッチで、全く別の新たなる傑作を作り上げた。