ヴィム・ヴェンダースが、尊敬する小津安二郎の捉えた風景を探す私的ドキュメンタリー。ヴェンダース自身の東京への旅を通して、東京の映像を収めていく。小津映画に出演した俳優の笠智衆と撮影監督であった厚田雄春への撮影当時のインタビューは必見の内容。
 ヘルツォークが、失われた東京の風景について、東京タワーで熱く語るシーンもあります。撮影された時期は、近いようで遠い1983年春。新幹線、地下鉄駅、パチンコ屋、ゴルフ練習場、どれも今もある東京の風景だが、今のそれとは違うような不思議な印象が残る作品。80年代の東京のアーカイブ映像作品としても観るのも一興です。

© 1985 REVERSE ANGLE LIBRARY GMBH, CHRIS SIEVERNICH