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PROGRAM/放送作品
ホビット 思いがけない冒険
『ロード・オブ・ザ・リング』の原点にして新たな冒険!ピーター・ジャクソンが描く新3部作の序章
『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を映画化したP・ジャクソン監督が、J・R・R・トールキンが執筆した前日譚「ホビットの冒険」の映像化にも挑戦。指輪の持ち主ゴラムの登場など前シリーズとの接点に注目。
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COLUMN/コラム2018.07.27
『ホビット 思いがけない冒険』オレのクリスマスは今年から、いとしいしと、マーイプレシャースなピージャク神を崇め奉る行事になった件について
視聴者の皆様、謹んでメリクリ申し上げます。ワタクシ、普段はザ・シネマの吹き替え担当をやっている者です。トールキニアン歴25年ということで、何故かこのたび筆をとることになりました。 さて、「『ホビット 思いがけない冒険』ジャパン・ホビット・デー ジャパン・プレミア イベント レッド・カーペットご観覧ご招待」という、当チャンネル史上もっとも長い名称の(多分)プレゼントを10組20名様に差し上げましたが、12月1日のそのイベントに当選された方、ホビット・デーはいかがでしたか? 六本木ヒルズにお越しいただけましたでしょうか? お楽しみいただけました? そうですか。それは何よりです。 その『ホビット 思いがけない冒険』が、いよいよ今日から公開されました! もう、待ちに待った、という感じですね。以前、当チャンネルで『ロード・オブ・ザ・リング』略して『LotR』を三部作一挙放送した際、このブログにもガッツリ長文を書いてヘロヘロになったもんですが、あっという間にあれから4年…。 そのブログ中でも『ホビットの冒険』映画化については言及しましたが、4年たってフタを開けてみればタイトルは『ホビット』。『LotR』と同じく三部作となり(これが最初の一発目で、以降、毎年公開予定)、さらに監督も、すったもんだがありました、で結局変わらず神ピーター・ジャクソンのまま、ということになりました。前作ファンにとってはまさにベストな形で落ち着いてくれて一安心。この間、紆余曲折ありましたからねぇ…。 この作品、『LotR』も『ホビット』も、熱狂的ファンがたくさんいます。映画版だけでなく原作からのファンも多い。また、RPGの原点ともされているため、ゲームから本作に興味を持ったというファンも少なくないはず。昨今の映画で人気大河シリーズは数あれど、映画版、原作、さらにはゲームの影響と、三方から各ファンが大量に結集してきているような超・超人気シリーズは、本作ぐらいではないでしょうか。 ワタクシも中1以来、ゲーム→原作→映画というルートを歩んできたファンで、もう四半世紀近くファンを続けてるんですが、それでもこの作品の場合は新参者・若輩者です。それぐらいファン層が厚い。この奥深さ、まさしく一生モノなのです。こういう場でワタクシごとき豎子が駄文を披露するのは、諸先輩がたに申し訳ない気持ちでいっぱいであります、ハイ。 さて、そんな作品だけに、『ホビットの冒険』を映画化した今作『ホビット 思いがけない冒険』には、原作ファンならではの心配事というのも、実はありました。 『ホビット』は『LotR』のプリクエルなんですね。プリクエル、つまり前日譚です。原作だと、先に『ホビットの冒険』の方がトールキンによって書かれました。しかも、児童文学として。実際、日本でも岩波少年文庫などから出ていますが、ボリュームも、文字の大きさも、漢字の割合も、続編『指輪物語』こと『LotR』と比べて明らかに子ども向けの小説です。『LotR』のような歴史や言語の創造という領域にまで踏み込んだ、壮大な叙事詩というより、ちょっとしたフィンタジーアドベンチャー小説といった気軽さです。私が中1にして人生初読破した小説が、この『ホビットの冒険』上下巻でした。 それが、心配事です。あの『LotR』の壮大なスケールに大感動し、号泣し、この映画が人生ベストだ!と断言して回っているような人種(オレ)にとって、その前日譚で児童文学の『ホビットの冒険』は、スケールダウンしたように映っちゃうのでは…? で、観ました。杞憂でした! 全国のトールキニアンの皆様、ご安心ください! もう、凄いことになっちゃってます!! 4年前のブログにも書きましたが、ピージャック神、この人は原作ファンにとっては神です! 昨今「お前、原作を全っ然わかってねぇーな!」という文化冒涜事件が多発しておりますここ日本ですが、そういうことが神には皆無です。神自身が原作マニア。原作を愛し抜いているマニアの中の真性どマニアが、原作を最大限リスペクトしながら、愛を込めて、原作に付け足したり原作から差し引いたりして使った、映画版。よくぞ!よくぞと言う他に言葉がありません!よくぞやってくれたという出来です!! まず、なにをどうやったらこうなるのか、『ホビットの冒険』が大人向けになっちゃってます! しかも、原作の魅力もまったく損なわれていない! 『LotR』のテンションで『ホビットの冒険』を映画にしているのです。これ凄くないですか? 神は、またも奇蹟を見せてくれました。これによって、原作を知らない映画から参入組のファンは、『LotR』と同水準の超ハイクオリティな物語を、期待通りに楽しめます。かつ、原作からどっぷりファンという層も、大人として『ホビットの冒険』を楽しめるという予想だにしなかった体験をすることができるのです。もう、全員が得してる!これぞまさしくWin-Win関係! さて、この物語は、『LotR』にも出てきたホビット族のおじいちゃん、ビルボ・バギンズの若かりし日々のお話です。バギンズ家(『LotR』でフロドが継いだ家)に、ある晩、ガンダルフに導かれた、トーリンをリーダーとする13人のドワーフ族が押しかけてきます。そして、ドラゴンに奪われた祖国とそこに眠る財宝を奪回しに行こう、という話になり、何故か、初対面でしかもノンビリ系のビルボ・バギンズまでが、“忍びの者”というポジションでそのメンバーに加わることになっちゃって、壮大な冒険に身を投じていくのです。その道中で、ビルボ・バギンズは、例の指輪を手に入れることになります。あの、ゴラムから…。 「ドラゴンに奪われた祖国と財宝」と書きましたけど、原作の児童文学の方では、どちらかというと「財宝奪還」の方がメイン。しかしこの映画版だと「祖国の再興」の方に重点が移っている印象です。ドワーフ族は、祖国を失い、異種族の土地に流れて行き、各地に分散して小集団で暮らす「流浪の民族」として、かなり判りやすくメタファー的な描かれ方をしています。 ドワーフ族と言えばゲームでもお馴染み。見た目はお約束的に、長いヒゲを伸ばしている年老いた頑固な小人、というステレオタイプがあって(白雪姫の例の7人も実はドワーフです)、『LotR』三部作のギムリなんかはまさにそのステレオタイプ通りのキャラでした。でも、今作ではイケメン・ドワーフやヤング・ドワーフなども出てきて、ピージャック神はあえてお約束を崩しにかかっているようにワタクシは見受けました。 『ホビットの冒険』という子ども向け小説を、流浪の民族の物語に、宿命に立ち向かって失われし祖国を再興しようという漢どもの熱きドラマに再構築する。しかも『LotR』水準の壮大なスケールで、大人の観客に滂沱たる大号泣をさせるクオリティで映画として再構築するためには、この手しかありません。ステレオタイプを脱し、彼らドワーフ族を人間的に描くしかありません。そうでなければ深いレベルでの感情移入ができない。ピージャック超アタマいいな!こんなところに神の奇蹟が顕現しています。 さて、今作で我々は、原作にも登場してくる灰色のガンダルフ(『LotR』1作目のようにまだ灰色です)と、裂け谷のエルロンド卿、そしてあのゴラムは言うまでもなく、さらにはガラドリエルの奥方や、白のサルマン、イアン・ホルム演じる老いたビルボ、そしてフロドとまで再会を果たすことになります。これは原作ファンにとっても予期せぬ再会。泣くしかない! さらに、『LotR』で何度も観た、牧歌的なホビット庄や、この世ならぬ幽邃美に満ちた裂け谷といった、懐かしい土地を、我々は今作でまた再訪することになります。もう泣くしかない! 加えてサントラです。『LotR』を愛する者の耳に残って一生離れることはないであろう、魂の旋律の数々。ホビット庄のライトモチーフ。エルフ族のライトモチーフ。そして、あの、ひとつの指輪のライトモチーフが今作でも流れ、懐かしさと同時に、ファンならイントロを聞いただけで、今スクリーンで何が描かれているのか、たちどころに理解できてしまうことでしょう。もはやほとんどワーグナー!本当に泣くしかない! おまけに、映画としての『LotR』にたった一つだけ欠けていた魅力、3D、ということまでも、今作からは加わったのですから、もはや泣かない理由がありません。 嗚呼、神よ感謝します。以下、突然ではありますが、去る12月1日、レッドカーペットの前に開かれた来日記者会見の席にて発せられた、ピージャック神のありがたい御言葉をこの場を借りて伝えますので、どうか心してお読みいただき、明日の心の糧としてください。 「この物語は、『LotR』の60年前という設定です。本作での行動がこの後どういう結果を招いたかということを、観客の皆さんは『LotR』を観てすでにご存知のことでしょう。今作の劇中で、ビルボにはゴラムを殺す機会があります。だが、ビルボは哀れみを見せる。正義感から彼がそこでゴラムを殺さなかったために、この物語は『LotR』の火山にまでつながっていくことになるのです。今作は『LotR』の様々な出来事の序章となっていますが、今、『LotR』から十年以上が経ち、このことは私にとっても大変感慨深く迫ってきます」 そしてこの作品、1秒48フレームという高い描画速度で3D撮影されておりまして、一部劇場ではHFR3D(ハイフレームレート3D)版で公開されておりますが、そんなテクニカル天上界語が難しすぎてアワアワしていた我ら人間界の迷える衆生に対し、神は、噛んで含めるようにして、易しくその神意を説いてくださったのでした。 「1927年、トーキーが誕生して映画に音が付くまで、撮影は手回しで行われていました。手動ですからフレームのスピードが一定ではなかった。しかし、やがてフィルムに音も同時に録音できるようになると、手回しでは音が安定しなくなった。では24フレームに決めよう、という基準がそこで作られたのです。これなら録音は安定する。当時35mmフィルムは高価だったため、24というフレーム数になったのです。 (筆者注:1秒間を24コマで撮影するということ。倍の48コマで1秒とするなら、画はなめらかな動きになるが、フィルムを倍の長さ消費することになり、当然フィルム代が倍かかることになる。逆に1秒12コマに減らせばフィルムは長さ半分、半額で済むが、絵がカクカク動くことに) 以降85年間、それがずっとスタンダードであり続けました。何千台もの映写機やキャメラが作られてしまい、今さら変えようがなかったからです。しかし近年デジタル化が進んで、映写機もキャメラも、フレームレートを変更可能になりました。 では、24から48にフレームレートを増やすことで、何がどう変わるか? 世界にリアリティが生まれるのです。本物の世界により近づけるのです。つまり3Dとハイフレームの融合は、実に素晴らしいコンビネーションだと言えるでしょう。本物の世界観を観客に見せられる。 さらに、映画館に行く動機にしてもらいたいという願いもありました。iPhoneやiPadで映画が観られるご時世です。この『ホビット』のような大作を、新しいテクノロジーで映画館で観て欲しい。人々を映画館に取り戻したい、という想いを、私はこの48フレームに込めました」 動いている対象を1秒間に24枚パシャパシャパシャパシャっと連続撮影し、その写真24枚を1秒間に等間隔でパラパラパラパラっとパラパラ漫画にすると、それは動いているように見える。1秒間の映像になります。これが映画の原理です。お金もないし面倒だから1秒間の動きを8枚の絵に描き、その8枚を1秒かけてパラパラ漫画にする、それが日本のアニメの原理です(スイマセン、かなり強引に単純化して話してます)。 で、このたび最高神は、神の持つ天地創造の御力により、1秒間を48に分割し、その48枚の静止画を1秒間に等間隔でパラパラ漫画にする、という、時間と世界の作り替えをおやりになられた、ということなのです。嗚呼、奇蹟だ! つまり、理論上は絵が倍なめらかに動くようになった訳です。しかも3D! これは『アバター』ショック以降の映画史において最大級のセカンド・インパクトではないでしょうか? まさに我々観客は、映画『ホビット 思いがけない冒険』を観ている間中ずっと、オレ中つ国に迷い込んじゃった!オレそこにいるわ!というアンビリバボーな奇跡体験をすることになるのです! 人類は、ここまできたか! 映画は、ここまでのことをできるようになったか! オレがこの歳まで映画を観続けてきたのは、すべてこれを体験するためだったのか! 泣くしかない。ただ黙って泣くしかない。もう本当に、冗談ではなく泣くしかない。ワタクシなんか170分間常時涙目、時に号泣でしたわ!皆さん、これは観ましょう。■ ©2012 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.
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PROGRAM/放送作品
(吹)ホビット 思いがけない冒険
『ロード・オブ・ザ・リング』の原点にして新たな冒険!ピーター・ジャクソンが描く新3部作の序章
『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を映画化したP・ジャクソン監督が、J・R・R・トールキンが執筆した前日譚「ホビットの冒険」の映像化にも挑戦。指輪の持ち主ゴラムの登場など前シリーズとの接点に注目。