検索結果
-
PROGRAM/放送作品
冬の光
牧師の子として生を受けた、イングマール・ベルイマン監督の自伝的要素を多分に含む最高傑作!
『鏡の中にある如く』に続く、「神の沈黙」三部作の第二作。自身の信仰心に自信を持てなくなった牧師の苦悩を通し、「神の不在」を描き出す。作品全体に無常観が漂い、時に観る者を突き放す、衝撃の一作。
-
COLUMN/コラム2013.05.26
2013年6月のシネマ・ソムリエ
■6月1日『不良少女モニカ』 I・ベルイマン監督の初期作品の中で最も広く知られた青春映画。みずみずしさと冷徹さが共存するその演出は、のちの仏ヌーベルバーグの作家たちにも影響を与えた。内気な若者ハリーと奔放な少女モニカが恋に落ち、着の身着のままの旅に出る。やがて厳しい現実的問題に直面した2人の選択が、残酷なコントラストを成していく。 ベルイマンに見出されたH・アンデルセンが、野性味あふれるモニカを圧倒的な存在感で体現。北欧の夏の空気感をシャープに取り込んだモノクロ映像も、実に魅惑的だ。 ■6月8日『冬の光』 田舎町の牧師トマスは4年前に妻を亡くして気力を失い、愛人の女性教師との関係にも煩わしさを感じている。そんなある日、信者のひとりが自殺したとの知らせが届く。I・ベルイマンが『鏡の中にある如く』と『沈黙』の間に発表した“神の沈黙”3部作の第2作。信仰心が揺らいだ牧師の苦悩を、恐ろしいほど深く静かに見すえていく。窓辺の“光”を印象的に捉えたカメラは名手S・ニクヴィスト。I・チューリンらの名優が脇を固め、神の不在という主題の解釈を観る者に委ねる結末も重い余韻を残す。 ■6月15日『青春群像』 フェデリコ・フェリーニが生まれ故郷の港町リミニを舞台に撮り上げた自伝的な青春映画。イタリアン・ネオリアリスモ的なテイストが色濃く残る初期の秀作である。 結婚後も浮気性が治らない駄目男ファウストを中心に、あてどない日々を過ごす若者5人の姿を描出。いつの時代も変わらぬ青春期の高揚感と鬱屈が観る者の郷愁を誘う。カーニバルの狂騒、浜辺に漂う寂寥感など、フェリーニらしいバイタリティや詩情に満ちた場面が随所に見られる。物語&映像と見事に融合した音楽はニーノ・ロータ。 ■6月22日『ニューヨーカーの青い鳥』 ニューヨークを舞台にした摩訶不思議な恋愛喜劇。雑誌の恋人募集広告が縁でめぐり合った男女と、彼らのかかりつけのセラピストたちが珍妙な騒動を繰り広げていく。原作&共同脚本は、不条理な作風で名高い劇作家クリストファー・デュラング。登場人物は変人だらけで、会話もまったく噛み合わない。唖然とするような怪作である。唐突なオープニングから大団円のラストまで、まさにR・アルトマン監督の独壇場。巨匠の作品中ではマイナーな1本だが、予測不可能な驚きを生む演出力はさすが。 ■6月29日『ネイキッド・タンゴ』 『蜘蛛女のキス』『太陽を盗んだ男』などで知られる脚本家L・シュレイダーの監督作品。1920年代アルゼンチンのタンゴ・バーを舞台に、男女の壮絶な愛憎模様を描く。 裕福な人妻から酒場の娼婦へと堕ちていくヒロイン役のM・メイが艶やかな魅力を披露。タンゴしか愛せない殺し屋に扮した怪優V・ドノフリオとの共演が見ものだ。ギャング映画の様式に則った映像世界の中に、派手な原色の照明に彩られたタンゴ・シーンを挿入。“血”の赤に染まった破滅的な結末まで濃厚な仕上がりの一作である。 『不良少女モニカ』©1953 AB Svensk Filmindustri Stills Photographer: Louis Huch 『冬の光』©1963 AB Svensk Filmindustri 『青春群像』RIZZOLI 1953 『ニューヨーカーの青い鳥』©1996 Lakeshore International Corp. All Rights Reserved. 『ネイキッド・タンゴ』©TOHO-TOWA
-
PROGRAM/放送作品
処女の泉
数多くの名作を残したスウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン、衝撃の問題作
娘を陵辱され殺された父親の復讐を描いた人間ドラマ。人間の罪と贖罪をテーマに作品を描き続けた巨匠は、本作でも冷徹なまでのカメラアイで人間を鋭く凝視する。1960年カンヌ国際映画祭特別賞受賞。
-
COLUMN/コラム2013.04.28
2013年5月のシネマ・ソムリエ
■5月4日『野いちご』 ウディ・アレンらに多大な影響を与えてきたI・ベルイマン監督の代表作。ベルリン国際映画祭金熊賞などを受賞し、ベルイマンの世界的な名声を確立した傑作である。名誉博士の称号を授かることになった老教授が、ストックホルムからルンドへ車で向かう。その道中のさまざまな出会い、主人公の胸に去来する苦い思い出を映し出す。とかく哲学的で難解とされるベルイマン作品の中では共感しやすく、老いや孤独といった主題を繊細に紡いだ逸品。冒頭のシュールな“悪夢”は一度観たら忘れられない。 ■5月11日『サイコ リバース』 ネブラスカ州の田舎町を舞台にしたサイコ・スリラー。ある列車事故をきっかけに、地元の銀行に勤める物静かな青年ジョンの驚くべき“秘密”が明らかになっていく。主演は『麦の穂をゆらす風』『レッド・ライト』などのC・マーフィ。実力派の曲者俳優が『サイコ』の殺人鬼ノーマン・ベイツを彷彿とさせる多重人格者を演じた。妙なふたつの顔を持つ主人公の狂気と悲哀が渦巻くドラマが展開。日本では未公開に終わったが、E・ペイジ、S・サランドンらが脇を固めるキャストも充実している。 ■5月18日『処女の泉』 巨匠I・ベルイマンが民間伝承に基づいて撮り上げた深遠なドラマ。中世のスウェーデンを舞台に、3人の羊飼いに殺される少女の悲痛な運命と父親による復讐を描く。製作当時としては衝撃的な暴行シーンを生々しく映像化。殺人とその復讐を通して、神の沈黙や宗教的な赦しなどのテーマを探求した映像世界は今なお色褪せていない。荒涼とした北欧の山間部の風景、登場人物の鬼気迫る表情を捉えたスヴェン・ニクビストのカメラが秀逸。1972年のホラー『鮮血の美学』の元ネタにもなった名作である。 ■5月25日『死刑台のエレベーター』 ルイ・マル監督が弱冠25歳で撮り上げたデビュー作。愛人関係にある男女の完全犯罪が些細なミスから綻び、思わぬ事態へと発展していく様を描く犯罪サスペンスだ。決して手に汗握るスリルに満ちた作品ではないが、全編を覆う物憂げなムードが魅惑的。アンリ・ドカエ撮影の白黒映像とマイルス・デイヴィスの即興音楽が圧巻である。夜のパリをさまようヒロイン役はジャンヌ・モロー。のちにヌーベルバーグのミューズとなる名女優の鮮烈な美貌と、クールな頽廃をまとった情念が忘れえぬ印象を残す。 『野いちご』©1957 AB Svensk Filmindustri 『サイコ リバース』©2009 CORNFIELD PRODUCTIONS, LLC All Rights Reserved. 『処女の泉』©1960 AB Svensk Filmindustri 『死刑台のエレベーター』© 1958 Nouvelles Editions de Film
-
PROGRAM/放送作品
第七の封印[HDデジタルリマスター版]
巨匠イングマール・ベルイマンが“死神”の幻想的なイメージを映像化し、世界的な名声を高めた異色作
ペストや魔女狩りなどの暗い世相に覆われた中世を舞台に、イングマール・ベルイマン監督が生と死、神といった根源的なテーマを探求。主人公が死神とチェスをする幻想的なイメージが、あまりにも有名な異色作だ。
-
PROGRAM/放送作品
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
最愛の父を“9.11”で失った少年が希望を探す。小さな冒険が胸を打つ感動のベストセラーを映画化
9.11同時多発テロの遺族の再生を綴るベストセラー小説を『リトル・ダンサー』のスティーヴン・ダルドリー監督が映画化。主人公の両親をトム・ハンクスとサンドラ・ブロックが演じ、静かな愛情で息子を包み込む。
-
PROGRAM/放送作品
さすらいの航海
迫害を逃れたユダヤ難民の壮絶な実話を、オールスター・キャストで再現した感動大作
ナチスの迫害を逃れ大西洋に出たユダヤ難民約900人の船が、安住の地を求め世界各国を放浪した実話をオールスター・キャストで映画化。大国のエゴに翻弄される難民の悲劇をドキュメンタリー・タッチで浮き彫りにする。
-
PROGRAM/放送作品
(吹)さすらいの航海
迫害を逃れたユダヤ難民の壮絶な実話を、オールスター・キャストで再現した感動大作
ナチスの迫害を逃れ大西洋に出たユダヤ難民約900人の船が、安住の地を求め世界各国を放浪した実話をオールスター・キャストで映画化。大国のエゴに翻弄される難民の悲劇をドキュメンタリー・タッチで浮き彫りにする。
-
PROGRAM/放送作品
マイノリティ・リポート
殺人者の汚名をそそごうとトム・クルーズが近未来の都市を駆け巡る、スピルバーグ監督のSF超大作
トム・クルーズが近未来の都市を駆け巡る!スティーヴン・スピルバーグ監督のSF超大作。極端に発達した未来の管理主義社会にひそむ非人間性を批判的に描くジャンル“オーウェリアンSF”の傑作。
-
PROGRAM/放送作品
女はそれを待っている
20世紀の巨匠イングマール・ベルイマンが、出産を通して3人の女性の姿を描く、ヒューマン・ドラマ
出産を通して、3人の女性の姿を描くドラマ。監督は『野いちご』『処女の泉』などで知られる、巨匠イングマール・ベルイマン。カンヌ国際映画祭では監督賞と、イングリッド・チューリンら、4人の女性が主演女優賞を受賞。