およそ400年前にシェイクスピアが残した最後の作品を「アクロス・ザ・ユニバース」の監督でも知られる舞台演出家のジュリー・テイモアが大胆な解釈を加えて映画化。大胆な解釈とは、物語の主人公を男から女へ変えてしまうという、これまたあまりにも思い切った演出。そしてその主演に起用されたのがアカデミー賞女優のヘレン・ミレン。このヘレン・ミレンの凄みを秘めた演技がすごい。王位を追われて流れ着いた孤島で魔術を極めた女王を、圧倒的な存在感で演じます。そしてブロードウェイ・ミュージカル「ライオン・キング」の演出を担当したジュリー・テイモアが生み出す個性的なキャラクター達は、どれも魅力に溢れていて、この作品だけの登場ではなんとなく惜しい。個人的には、女王に仕える空気の妖精エアリアルや怪物キャリバンのスピンオフ作品なんかも作れてしまうのではと思った次第。ジュリー・テイモアの次作が待ち遠しい。

©2010 Touchstone Pictures