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PROGRAM/放送作品
メルキアデス・エストラーダの3度の埋葬
トミー・リー・ジョーンズ初監督作にしてカンヌ映画祭脚本賞受賞作。男の友情と孤独を味わい深く描く
トミー・リー・ジョーンズ初監督作品。脚本は、『アモーレス・ペロス』『21グラム』そして新作『あの日、欲望の大地で』などの深い人間ドラマで知られるギジェルモ・アリアガ。本作はカンヌで脚本賞を受賞した。
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COLUMN/コラム2012.06.27
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年7月】招きネコ
バイオレンス描写と物語、どちらもにもサム・ペキンパー監督の世界観満載の『ワイルド・バンチ』の戦争映画版。第二次世界大戦末期の東部戦線で、敗戦濃厚なドイツ軍が、攻め込むソ連軍相手に抵抗する最前線が舞台。とにかく、登場人物は薄汚れた男ばかり。イケメンなし。だが、生き様がしびれるほどカッコイイ。仲間への責任感に満ち、器用な生き方ができず、負け戦とわかっていても自分の生き方を貫き通す主人公シュタイナーを演じるジェームズ・コバーンが、セリフではなく俳優としての存在感そのもので、この映画を成立させてしまいました。彼と対立する貴族出身の勲章をもらうことしか頭にない上官シュトランスキー役を演じたマクシミリアン・シェルもイヤな奴度100%の名演。だけど、こちらは演技だと思うので、こんな憎まれ役の中にも、憎みきれない姑息な人間の弱さを具現化させたシェルも別の意味ですごいです。「暴力」が代名詞になっているサム・ペキンパーですが、この作品を見終わった時に残ったのは、戦争の虚しさ、人間の狂気でした。魂がカッコイイ男たちの、暴力や戦争へのカタルシスなど微塵もない、これは反戦映画です。 © 1977 Rapid Film GMBH - Terra Filmkunst Gmbh - CANAL+ Image UK Ltd.
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PROGRAM/放送作品
赤いアモーレ
2008年度アカデミー賞助演女優賞に輝いたペネロペ・クルスが、大胆な裸身で魅せる究極の愛!
ヨーロッパ各国でベストセラーとなった不倫恋愛小説を映画化した作品。ペネロペ・クルスが、妻子ある男性に弄ばれつつ彼を虜にする、薄幸そうでいて見るからに淫靡な魔性の女を好演。オスカーに輝いた。
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COLUMN/コラム2011.08.23
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2011年9月】飯森盛良
ザ・シネマの9月のレギュラー吹き替え企画は、チャック・ノリス特集!うち1本は『野獣捜査線』。良い意味で中二向けなチャック映画にしては異色の、大人も楽しめる本格刑事モノ。そう言えば、最近ウチでマックィーンの遺作『ハンター』を放送しましたが、両作とも舞台はシカゴ。シカゴL(シカゴが舞台の映画には必ず登場する高架鉄道)の走行中の屋根の上で、犯人とチェイスするシーンなんか、似てるを通り越してまんま同じ!チャック師は故マックィーンの空手の師匠だったので、亡き弟子へ捧ぐオマージュか? 『ハンター』10月にまたやりますので、ぜひ2作あわせてご覧あれ! CODE OF SILENCE © 1985 ORION PICTURES CORPORATION. ALL RIGHTS RESERVED.
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PROGRAM/放送作品
脱走山脈
動物園の象と戦いに辟易した英兵捕虜の疎開の道中で描かれる、戦争の愚かしさ。ユーモア溢れる反戦映画
お涙ちょうだいではなく、ユーモアで戦争の馬鹿馬鹿しさを皮肉った、いかにも英国流の反戦映画。だが、監督がブロンソンの男気炸裂ムービー、あの『デス・ウィッシュ』シリーズのマイケル・ウィナーとはビックリ!
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COLUMN/コラム2013.06.30
2013年7月のシネマ・ソムリエ
■7月6日『リアル・ブロンド』 売れない役者ジョーとヘアメイクアーティスト、メアリーは同棲中のカップル。倦怠期に陥った彼らのトラブル続きの日々を、シニカルなユーモア満載で綴るコメディだ。 主演のM・モディン、C・キーナーが、何をやっても空回りしてしまう男女を絶妙なコミカル演技で体現。ダメ人間たちの切実な奮闘ぶりが笑いと共感を呼び起こす。 監督はジム・ジャームッシュらと親交が深く、米国インディーズ界で活動するT・ディチロ。昼メロ撮影現場などの芸能界の内幕を見せる、軽妙なギャグ・センスに注目。 ■7月13日『歌う大捜査線』 かつて薬物問題で保護観察処分を受けたR・ダウニーJr.が、その復帰作として主演した異色コメディ。英国製のTVドラマ「The Singing Detective」の映画化である。主人公は謎の皮膚病に冒された小説家ダン・ダーク。そんな彼が病院でセラピーを受ける現実と、“歌う探偵”として活躍する妄想の中の出来事がシュールに錯綜していく。ノワールとミュージカルの要素をはらむ映像世界は遊び心たっぷり。不気味な特殊メイクを施したダウニーJr.と、意外な役柄に扮したM・ギブソンの共演も見ものだ。 ■7月20日『エビータ』 アンドリュー・ロイド=ウェバーの大ヒット・ミュージカルの映画化。アルゼンチン国民の絶大な支持を得た実在のファーストレディ、エバ・ペロンの生き様を描く。数々の音楽映画の秀作を手がけてきた名匠A・パーカーが、その実力を遺憾なく発揮。セリフを排除し、楽曲のメロディとリズムを前面に押し出した映像世界は圧巻である。大物女優たちを押しのけて大役を射止めたマドンナが、A・バンデラスとともに見事な歌唱力を披露。とりわけマドンナが歌う「アルゼンチンよ泣かないで」は感動的だ。 ■7月27日『幻の女』 『光年のかなた』『白い町で』などで世界的に注目されたスイスの映画作家アラン・タネール。1980年代末のミニシアター隆盛期に日本公開された味わい深い小品である。創作意欲を失った映画監督が若い助手を雇い、新作の女優探しを始める。スイスからイタリアの港町へ。そのあてどもない旅は、映画と人生をめぐる“製作日誌”のよう。主人公の情熱を呼び覚ます“幻の女”役は『息子の部屋』などのイタリア人女優ラウラ・モランテ。その端正な貌立ちと、謎めいた美しさは一度見たら忘れられない。 『リアル・ブロンド』© 1997 Lakeshore Entertainment Corp. All Rights Reserved 『歌う大捜査線』TM & Copyright © 2013 by Paramount Classics, a division of Paramount Pictures. All Rights Reserved 『エビータ』COPYRIGHT © 2013 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED. 『幻の女(1987)』1987 Filmograph/MK2 Productions
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PROGRAM/放送作品
昼下りの情事
名匠ビリー・ワイルダーがオードリー・ヘプバーンの可憐な魅力を引き出す!傑作ロマンティックコメディ
ビリー・ワイルダー監督が『麗しのサブリナ』に続いてオードリー・ヘプバーンと再タッグ。当時56歳のクーパーと27歳のオードリーの恋模様をチャーミングに紡ぐ。フランスの名優モーリス・シュヴァリエも出演。
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COLUMN/コラム2013.05.26
2013年6月のシネマ・ソムリエ
■6月1日『不良少女モニカ』 I・ベルイマン監督の初期作品の中で最も広く知られた青春映画。みずみずしさと冷徹さが共存するその演出は、のちの仏ヌーベルバーグの作家たちにも影響を与えた。内気な若者ハリーと奔放な少女モニカが恋に落ち、着の身着のままの旅に出る。やがて厳しい現実的問題に直面した2人の選択が、残酷なコントラストを成していく。 ベルイマンに見出されたH・アンデルセンが、野性味あふれるモニカを圧倒的な存在感で体現。北欧の夏の空気感をシャープに取り込んだモノクロ映像も、実に魅惑的だ。 ■6月8日『冬の光』 田舎町の牧師トマスは4年前に妻を亡くして気力を失い、愛人の女性教師との関係にも煩わしさを感じている。そんなある日、信者のひとりが自殺したとの知らせが届く。I・ベルイマンが『鏡の中にある如く』と『沈黙』の間に発表した“神の沈黙”3部作の第2作。信仰心が揺らいだ牧師の苦悩を、恐ろしいほど深く静かに見すえていく。窓辺の“光”を印象的に捉えたカメラは名手S・ニクヴィスト。I・チューリンらの名優が脇を固め、神の不在という主題の解釈を観る者に委ねる結末も重い余韻を残す。 ■6月15日『青春群像』 フェデリコ・フェリーニが生まれ故郷の港町リミニを舞台に撮り上げた自伝的な青春映画。イタリアン・ネオリアリスモ的なテイストが色濃く残る初期の秀作である。 結婚後も浮気性が治らない駄目男ファウストを中心に、あてどない日々を過ごす若者5人の姿を描出。いつの時代も変わらぬ青春期の高揚感と鬱屈が観る者の郷愁を誘う。カーニバルの狂騒、浜辺に漂う寂寥感など、フェリーニらしいバイタリティや詩情に満ちた場面が随所に見られる。物語&映像と見事に融合した音楽はニーノ・ロータ。 ■6月22日『ニューヨーカーの青い鳥』 ニューヨークを舞台にした摩訶不思議な恋愛喜劇。雑誌の恋人募集広告が縁でめぐり合った男女と、彼らのかかりつけのセラピストたちが珍妙な騒動を繰り広げていく。原作&共同脚本は、不条理な作風で名高い劇作家クリストファー・デュラング。登場人物は変人だらけで、会話もまったく噛み合わない。唖然とするような怪作である。唐突なオープニングから大団円のラストまで、まさにR・アルトマン監督の独壇場。巨匠の作品中ではマイナーな1本だが、予測不可能な驚きを生む演出力はさすが。 ■6月29日『ネイキッド・タンゴ』 『蜘蛛女のキス』『太陽を盗んだ男』などで知られる脚本家L・シュレイダーの監督作品。1920年代アルゼンチンのタンゴ・バーを舞台に、男女の壮絶な愛憎模様を描く。 裕福な人妻から酒場の娼婦へと堕ちていくヒロイン役のM・メイが艶やかな魅力を披露。タンゴしか愛せない殺し屋に扮した怪優V・ドノフリオとの共演が見ものだ。ギャング映画の様式に則った映像世界の中に、派手な原色の照明に彩られたタンゴ・シーンを挿入。“血”の赤に染まった破滅的な結末まで濃厚な仕上がりの一作である。 『不良少女モニカ』©1953 AB Svensk Filmindustri Stills Photographer: Louis Huch 『冬の光』©1963 AB Svensk Filmindustri 『青春群像』RIZZOLI 1953 『ニューヨーカーの青い鳥』©1996 Lakeshore International Corp. All Rights Reserved. 『ネイキッド・タンゴ』©TOHO-TOWA
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PROGRAM/放送作品
シネマの中へ 月間総集編 6月号
長塚京三の案内で、クラシック映画を楽しむためのポイントを予習する、5分間の解説番組の総集編
週土曜あさ10時の「赤坂シネマ座」。この枠で取り上げる、映画史に残る名作たちの魅力を、俳優・長塚京三さんが紹介。クラシック映画の敷居の高さを取り払う様々な予備知識で、本編が120%楽しくなる。
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COLUMN/コラム2019.03.26
自分をCIAの工作員だと思い込んだ青年が相棒に選んだチアガールは、もっとイカれた女子高校生だった!
サイコ・スリラーの傑作『かわいい毒草』、これはもう、今シーズン2の目玉です!日本では1973年に淀川長治先生の『日曜洋画劇場』で放送されて、僕はその時に観たんですが、それ以降、日本では観ることができませんでした。VHSやDVDも未だに出ていません。今回お届けするのが誇りに思える映画です。 主演はアンソニー・パーキンス。彼が精神病院から出てくるところから映画が始まります。もう、これがもう「やられた!」って感じです。なぜなら、彼はヒッチコックの『サイコ』(60年)以来、8年間、アメリカ映画に出てなかったんですが、『サイコ』の最後はパーキンスが精神病院に入るところで終わるんですよ。だから、当時の観客からすれば、8年間病院に入ってた彼がまさに出てきたみたいなんですよ。 パーキンスといえば、かつては青春スターだったんですが、『サイコ』でサイコ・キラーを演じて、それがあまりに強烈すぎて、サイコ役しか回って来なくなったので、ヨーロッパに逃げていたと言われています。この『かわいい毒草』でのパーキンスは妄想性の虚言症。だから、彼は主役なのに、彼が言ってることを観客は信用できないというトリッキーな役です。 その彼が美少女に恋します。そして、いつもの調子で「僕は実は正義のスパイなんだ」とか妄想というか虚言で口説きますが、その少女は全部信じてくれる。そのうちになりゆきでスパイみたいな破壊活動まですることになりますが、そのとき、やっと主人公は気づきます。この子のほうがクレイジーだと。タイトルになっている、かわいい毒草ちゃんだったんですね。 毒草ちゃんを演じるのはチューズデイ・ウェルド。少女モデル出身で、セブンアップという清涼飲料水の広告で大人気になった人です。清純派のアイドルだったんですが、私生活では中学生くらいから酒と麻薬とセックスでめちゃくちゃでした。だから、見た目は可愛いけど実は猛毒という役柄とぴったりなんですね。 監督はノエル・ブラック。まだ30歳での商業映画デビュー作です。この人は天才です。学生時代に作った自主短編『スケーターデーター(Skat erdat er )』でいきなりカンヌ映画祭の短編部門で賞を獲りました。カリフォルニアのスケボー少年少女を描いた、詩のような、ミュージックビデオみたいな青春映画の傑作です。この『かわいい毒草』もサイコ・サスペンスですがブラック・ユーモアに満ちていて、色彩や編集もポップ、まったく古びていません。さらに、環境破壊やアメリカ文化批評まで含んだ、深い映画になっています。 しかし『かわいい毒草』を作った20世紀フォックスは、当時別の大作映画の失敗で資金難に陥り、『かわいい毒草』は宣伝や配給の予算を与えられず、ひっそりと小規模に公開されて忘れられました。でも、その後、少しずつ評価が高まり、現在はカルト・ムービーになっていますが、おそらく日本では初めて観る人も多いと思います。絶対に面白いので、ぜひ、ご覧ください。■ (談/町山智浩) MORE★INFO. ●製作のマーシャル・バックラーとノエル・ブラック監督は、TV界出身の新人で短篇『Skaterdater』(未公開)で61年カンヌ映画祭でグラン・プリ、アカデミー賞の短編賞ノミニーを得たチームだった。 ●原作は66年に発表されたスティーヴン・ジェラーの未訳小説『She Let Him Continue』。 ●依頼されてから6週間で書き上げたという脚色のロレンツォ・センプル・Jr. が、ニューヨーク映画批評家協会脚本賞を授与された。 ●『サイコ』(60年)以来アメリカを離れヨーロッパで映画出演を続けていたパーキンス久々のハリウッド映画出演となった。 ●初の長編となるノエル・ブラック監督は、神経質なウェルドに適切な演技指導が出来ず、ウェルドは後に「最低の体験だった」と述べた。 © 2001 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.