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PROGRAM/放送作品
ロイ・ビーン
流れ者が“法の番人”になり悪を裁く!ポール・ニューマンと巨匠ジョン・ヒューストンが贈る異色ウエスタン
巨匠ジョン・ヒューストン監督がユーモアを交えて描く痛快ウエスタン。流れ者から法の番人に転じた実在の判事ロイ・ビーンの生涯を、ポール・ニューマンら個性派俳優たちの競演で人間味豊かに織りなす。
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COLUMN/コラム2022.07.11
ホラー映画文化とそのファンへ大いなる愛を込めた吸血鬼映画の傑作!『フライトナイト』
自身も熱烈なホラー映画ファンだったトム・ホランド監督 ハリウッドが空前のホラー映画ブームに沸いた’80年代。ジェイソンにフレディにマイケル・マイヤーズにレザーフェイスなどなど、数々の血に飢えた連続殺人鬼がスクリーンを縦横無尽に暴れ回り、日進月歩で進化する特殊メイク技術を駆使した血みどろの残酷描写がファンを大いに沸かせた。その一方で、吸血鬼ドラキュラやフランケンシュタインの怪物やミイラ男といった、いわゆる古典的なホラー・モンスターは半ば絶滅の危機にあったと言えよう。唯一の例外は狼人間。『狼男アメリカン』(’81)でリック・ベイカーが披露した狼男の変身シーンは特殊メイクの世界に革命を巻き起こし、同じ年に公開された『ハウリング』(’81)と並んで人狼映画リバイバルの起爆剤となった。 それに対して、かつてホラー・モンスターの王様だった吸血鬼は、せいぜいコメディ映画でパロディにされるくらいが関の山。『ザ・キープ』(’83)や『スペース・バンパイア』(’85)のように変化球的な作品もあったが、しかし正統派の吸血鬼映画とは一線を画していた。そうした中、古典的な吸血鬼を現代風にアップデートし、誰も予想しなかったサプライズ・ヒットを記録した作品が『フライトナイト』(’85)だった。 産みの親は『チャイルド・プレイ』(’88)でもお馴染みのトム・ホランド監督。俳優としてキャリアをスタートしたホランドは、映画監督を志してまずは脚本家へと転身。カルト的な人気を誇るテレビ映画『のろわれた美人学生寮』(’78)が評判となり、リチャード・フランクリン監督の『サイコ2』(’83)の脚本で高い評価を得たホランドだったが、しかしマイケル・ウィナー監督の『Scream For Help』(’84・日本未公開)で脚本をズタズタにされてしまったことから、自分の書いたオリジナル脚本を自分自身の手で忠実に映画化したいと考えるようになる。 予てより、古典的ホラー・モンスターを現代に復活させたいと願っていたホランド監督。元ネタとなったのは、ある時思い浮かんだ「ホラー映画ファンの高校生が、隣家の住人が本物の吸血鬼であることに気付く」というアイディアだ。これは面白い映画になる!と思ったものの、しかしそこから1年近くもストーリーを発展させることが出来なかった。そこでホランドは「こういう場合に高校生の少年だったらどうするだろう?」と考える。恐らく周囲の大人に訴えても信じてもらえないはずだ。ならば誰に相談する?そこで彼は突然ひらめいたという。そうだ!ヴィンセント・プライスだ!と(笑)。こうして生まれたのが、ホランドにとって永遠の憧れであるピーター・カッシングとヴィンセント・プライスの名前を合体させた、ピーター・ヴィンセントというキャラクターだった。そう、トム・ホランド監督自身が、実は主人公の少年と同じく熱狂的なホラー映画ファンだったのだ。 アメリカのホラー映画文化に欠かせない「ホラー・ホスト」とは? アメリカの小さな田舎町に住む平凡な高校生チャーリー・ブリュースター(ウィリアム・ラグズデール)は、毎週金曜日の深夜にテレビで放送されるホラー映画番組「フライトナイト」を欠かさず見ている大のホラー映画ファン。ある晩彼は、長いこと空き家だった隣家に新しい住人が引っ越してきたことに気付くのだが、しかしよく見ると地下室に棺桶を運び込んでいた。ちょっと不思議に思うものの、その時は大して気にしなかったチャーリー。しかし、その日から町の周辺で若い女性の変死体が発見されるようになり、ニュース報道で犠牲者の顔写真を見たチャーリーは思わず目を疑う。前日に隣家を訪れたコールガールだったのだ。 新しい住人はジェリー・ダンドリッジ(クリス・サランドン)とビリー・コール(ジョナサン・スターク)の男性2人。しかし、ジェリーは日中ずっと留守にしているようだ。どう考えても怪しい。夜になって自室から隣家を覗き見にしていたチャーリーは、ダンドリッジが若い女性の血を吸おうとしている様子を目撃してしまう。あれは絶対に吸血鬼だ!そう確信したチャーリーは母親や警察に訴え出るも信じてもらえず、恋人エイミー(アマンダ・ビアース)や筋金入りのホラー映画マニアである親友エド(スティーブン・ジェフリーズ)から心配されてしまう。一方、正体がバレたことに気付いたダンドリッジは、これ以上ことを荒立てると殺すぞとチャーリーを脅迫。窮地に追い込まれたチャーリーが、最後の頼みの綱として相談したのは、テレビ「フライトナイト」のホスト役ピーター・ヴィンセント(ロディ・マクドウォール)だった。 吸血鬼ハンターを名乗っているヴィンセントだが、もちろんあくまでも番組内の設定であり、実際は落ちぶれた往年のホラー映画スターに過ぎない。しかも、視聴率不振で番組をクビになってしまった。ドラキュラだのフランケンシュタインだのといった、ヴィンセントが愛する古き良きホラー・モンスターはもう時代遅れなのだ。最初はチャーリーの訴えを真に受けず、大人をからかうのもいい加減にしなさいと突き放したヴィンセント。しかし、エイミーとエドから「チャーリーを正気に戻したい」と相談され、現金と引き換えに一肌脱ぐこととなる。番組の小道具である吸血鬼ハンター・グッズを使って、ダンドリッジが吸血鬼ではないことをチャーリーの目の前で証明しようというのだ。ところが、実際にチャーリーたちを連れてダンドリッジの屋敷を訪れたヴィンセントは、そこで彼が本物の吸血鬼であることに気付いてしまう…! 本作のことを「古き良きホラー映画とそのファンへ贈るラブレター」と呼ぶトム・ホランド監督。先述したように大のホラー映画ファンだった彼は、劇中のチャーリーと同じようにテレビのホラー映画番組をこよなく愛していたという。’50年代に古い映画のテレビ放送が始まったアメリカ。予算のないローカル局では、主に権利料の安いB級ホラー映画を毎週金曜の深夜に放送し、ティーンの視聴者から人気を集めた。そうした番組に欠かせなかったのが「ホラー・ホスト」。地元の売れない役者やタレント、局アナなどが、それぞれ独自に考え出したホラー・キャラクターに扮し、番組のプロローグとエピローグで今週のホラー映画を紹介するのだ。エド・ウッド映画にも出演した女吸血鬼ヴァンピラや、歌手デビューまでした妖怪ザッカリーなどがその代表格。’80年代にはエルヴァイラが大ブレイクし、主演映画まで作られた。 アメリカでは子供時代~青春時代にかけて、こうした番組でユニバーサル・モンスター映画やロジャー・コーマン映画、RKOホラーやハマー・ホラーなどの古典を見て育ったというホラー映画マニアがとても多い。もちろん、ホランド監督もそのひとり。主人チャーリーはまさに学生時代のホランド監督であり、その親友エドは当時のホラー映画ファン仲間であり、ヴィンセントは彼らの世代が夢中になったホラー映画番組ホストの象徴なのだ。しかも、’80年代半ば当時はホラー映画マニアが市民権を得始めた時代。今ほどではないにせよ、ファンの祭典であるホラー・コンベンションも増えつつあった。ホラー映画好きを公言しただけで白い目で見られた、ホランド監督の学生時代とは大違い。恐らく感慨もひとしおだったに違いない。これは言わば、脈々と受け継がれるアメリカのホラー映画文化と、それを形成してきたファンへの愛情がたっぷり詰まった作品。それこそが『フライトナイト』の本質的な魅力であり、’11年に作られたリメイク版で決定的に足りなかった点だと言えよう。 新時代の吸血鬼像を作り上げた気鋭の特殊効果チーム そんな本作の魅力を支える最大の功労者は、間違いなくヴィンセント役のロディ・マクドウォールであろう。彼の演じるヴィンセントなくして、本作は成立しなかったと言っても過言ではない。当初、ホランド監督はヴィンセント・プライスにオファーするつもりだったそうだが、しかし当時のプライスは高齢なうえに健康問題を抱えており、それなりの運動量を要求される本作は物理的に不可能だった。そこで浮上したのが、ホランドが脚本に携わった映画『処刑教室』(’82)に出ていたマクドウォールだったという。 ご存知の通り、12歳の時に出演したジョン・フォード監督の名作『我が谷は緑なりき』(’41)でスターダムを駆け上がり、本作の当時すでに40年以上のキャリアを誇っていたマクドウォール。その間に幾度となく浮き沈みを経験していたことから、「ヴィンセントは私そのものだ」と語るほど役柄に深い思い入れを持っていたという。しかも、プライベートでは膨大な数の映画フィルムをコレクションし、古き良き時代のハリウッド映画をこよなく愛した筋金入りの映画マニア。本作に込めたホランド監督の想いを、恐らく誰よりも理解していたに違いない。ちなみに、サイレント時代から同時代まで幅広い映画人と交友関係のあった彼は、週に2回自宅へ友人を招いてパーティを開いていたらしい。ただし、毎週火曜日がストレート向け、金曜日がゲイ向けと分けていたのだとか。ホランド監督や主演のウィリアム・ラグズデールも、そのストレート向けパーティに何度も招待され、そこで憧れのヴィンセント・プライスとコーラル・ブラウンの夫妻に紹介されて舞い上がったそうだ。 このように懐かしい時代へのノスタルジーが込められた作品だが、その一方で古式ゆかしい吸血鬼のイメージを’80年代仕様にアップデートした点も特筆すべきであろう。それまでの映画に出てくる吸血鬼と言えば、顔を青白く塗って牙を付けただけのベラ・ルゴシ型か、もしくは特殊メイクで野獣のように獰猛な顔をしたノスフェラトゥ型のどちらかだったが、本作の吸血鬼ダンドリッジはその両者を合体・進化させたハイブリッド型。普段はセクシーでハンサムな普通の人間だが、しかし血を吸う際には目を光らせて牙が飛び出し、さらに本性を現すと醜悪なノスフェラトゥ型モンスターへと変身する。中でも、当時最先端の特殊メイク技術を駆使して作られたノスフェラトゥ型は、それまでの吸血鬼映画とは比べ物にならないくらいリアルで凶悪だった。 これはやはり、『ポルターガイスト』(’82)や『ゴーストバスターズ』(’84)でもお馴染みのリチャード・エドランド率いる視覚効果&特殊メイク・チームの功績が大きいだろう。中でも、当時まだ駆け出しだったスティーヴ・ジョンソンが素晴らしい仕事をしている。もともとエドランドはリック・ベイカーに声をかけていたのだが、働き過ぎで休みが欲しいことを理由に断られたため、『ゴーストバスターズ』で実力を発揮したジョンソンに白羽の矢を立てたという。そのほか、『ロード・オブ・ザ・リング』三部作でオスカーに輝くランドール・ウィリアム・クックや、『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのケン・ディアスなど、後にハリウッドの大御所となる特殊効果マンたちが名を連ねている。本作で彼らが生み出した新時代の吸血鬼は、その後『ロスト・ボーイ』(’87)や『フロム・ダスク・ティル・ドーン』(’96)などに受け継がれていくこととなる。■ 『フライトナイト』© 1985 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
フライトナイト
隣に越してきた男は吸血鬼だった!ヴァンパイア伝説に青春映画のテイストを融合したコメディホラー
『チャイルド・プレイ』のトム・ホランドの監督デビュー作。冴えない高校生と吸血鬼の戦いを、SFX技術を駆使してライトなタッチに仕上げている。吸血鬼ハンターに扮する役者をロディ・マクドウォールが好演。
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COLUMN/コラム2018.10.12
『ヘルハウス』“オカルト映画ブーム”から45年後の楽しみ方。
呪われた幽霊屋敷の怪異を描く『ヘルハウス』は、1974年9月に日本で劇場公開されている。そしてこの公開のタイミング故に、“オカルト映画ブーム”の文脈で語られることが多い作品となった。 幽霊譚やモンスター、魔女・悪魔など、科学では割り切れない不可思議な超常現象をモチーフやテーマにした作品は、映画の草創期から、繰り返し製作されてきた。ではこのジャンルが、“オカルト映画”と呼ばれるようになったのは、いつ頃からだったのか? その嚆矢として度々取り上げられる作品に、ロマン・ポランスキー監督の『ローズマリーの赤ちゃん』(1968)がある。しかし巷で“オカルト映画”という言葉が浸透したのは、やはりウィリアム・フリードキン監督の『エクソシスト』(1973)以降であろう。少女に取り憑いた悪霊パズズとカソリックの神父の対決を描いて、世界的な大ヒットとなったこの作品は、“オカルト映画ブーム”のまさに立役者となった。 後続の作品の中には、『オーメン』(1976)や『シャイニング』(1980)『ポルターガイスト』(1982)等々の優れものもあった。しかし一方で、“エクソシストもの”とでも言うべき、オリジナリティに欠けるエピゴーネンも、数多登場することとなる。 さて話は戻って、ここで本題の『ヘルハウス』である。『エクソシスト』の日本公開が、1974年の7月。そして冒頭で記した通り、その大ヒットの余波がある、2か月後の9月に、『ヘルハウス』は公開された。 当初は原題(The Legend of Hell House)をおどろおどろしく直訳した『地獄邸の伝説』という邦題が決まっていたが、急遽原題の一部をピックアップした英語タイトルへとチェンジ!本作の宣伝関係者が『エクソシスト』の大ヒットにあやかろうと、「同じカタカナ五文字の『ヘルハウス』で行け~!」となった結果であろうことは、まったくもって想像に難くない。 そんな経緯もあって、まるで“ブーム”に便乗して、製作・公開されたかのような印象さえある、『ヘルハウス』。しかし“エクソシストもの”のような作品群とは、明らかに一線を画す作品なのである。 『ヘルハウス』の原作・脚本を担当したのは、リチャード・マシスン(1926~2013)。小説家としては、1950年24歳の時にデビューし、現在までに3度映画化された「アイ・アム・レジェンド」(1954)や、「縮みゆく人間」(1957)「奇蹟の輝き」(1978)などSFホラーやファンタジーの名作をものしている。更にはウエスタンやノンフィクションまで、長年に渡ってジャンルを横断する活躍を見せた。 脚本家としても、TVシリーズの「トワイライト・ゾーン」(1959~64)、エドガー・アラン・ポー原作の映画化作品『アッシャー家の惨劇』(1960)『恐怖の振子』(1961)などをはじめ、数多くの映画、TVドラマを手掛けている。 自らの小説を脚色した作品を挙げても、スピルバーグの出世作『激突!』(1971)や、『ある日どこかで』(1980)など、名作・話題作のタイトルが、次々に挙がる。 マシスンは、モダンホラー小説の巨匠・スティーヴン・キングが「私がいまここにいるのはマシスンのおかげだ」と語るような、偉大な存在なのである。そして『ヘルハウス』の原作「地獄の家」(1971)は、彼の手掛けた数々の長編小説の中でも、「最高傑作」と評されることが多い作品なのだ。 この作品に先駆けてマシスンは、霊能力者や超能力者など“サイキック”の歴史を描く、長編小説やTVシリーズなどに挑むものの、頓挫して未完に終わっている。しかしその際に長期に渡るリサーチから、超能力や心霊現象などに関する膨大な知識を得た。そしてそれが、『ヘルハウス』へと注ぎ込まれている。 物語の舞台は、エメリック・ベラスコという富豪が建てた巨大な屋敷、通称“ベラスコハウス”。変態的サディストだったベラスコによって、ここを訪れた多くの者がマインドコントロールされ、乱交や近親相姦、獣姦など痴態を繰り広げた果てに、命を落とした。そしてベラスコ自身も、行方不明となる。 その後“ベラスコハウス”に関しては、2度に渡って科学者や霊能者から成る調査団が送り込まれるも、そのほとんどが命を落とすか正気を失うこととなった。そして本作は、2度目から30年の月日を経て行われることとなった、3度目の調査の顛末を描く。 そのメンバーは、物理学者とその妻、若き女性霊能力者、そして30年前の調査でただ一人生き残った、男性霊能力者の4人。 女性霊能力者は、ベラスコの息子と称する霊と交信し、その魂を屋敷の魔力から解き放とうと力を尽くす。一方で、霊の存在など信じない物理学者は、屋敷やそこに居る者たちに異変をもたらすのは、電磁力のようなエネルギーだと分析し、自らが開発した機械で消滅させようと試みる…。 映画版『ヘルハウス』は、原作にほぼ忠実な展開だが、大きな変更点がある。原作ではアメリカのメイン州に位置したベラスコハウスが、映画ではイギリスに移されている。 幽霊屋敷の怪異譚と言えば、アメリカよりもイギリスの方がやはりしっくりくる。そして監督のジョン・ハフは、1950年代からクラシックホラーを数々世に送り出してきた、イギリスのハマープロのテイストが滲み出るように、演出や画面のルックに趣向を凝らしたという。 ハマープロ仕立てのクラシックな幽霊屋敷に、科学者が西洋合理主義で挑むあたり、1973年、アメリカン・ニューシネマ全盛期ならではの“ホラー映画”とも言える。またこの作品の原作が、スティーブン・キングの『シャイニング』など、後の“モダンホラー”の先駆け的な存在となったことを考えると、映画『ヘルハウス』は、“モダンホラー”とイギリス流“クラシックホラー”のハイブリッドとも言える。 さてこの作品、2018年の今、もう一点大きな見どころがある。それは、良く言えば「渋い」、悪く言えば「地味」な、70年代キャスティング。 物理学者夫妻のクライヴ・レヴィルとゲイル・ハニカット、女性霊能者役のパメラ・フランクリン、そして男性霊能力者役のロディ・マクドウォール。中でもロディ・マクドウォールは、『ヘルハウス』での役どころが、彼のキャリアと重なるのが、大変興味深い。 ロディは、1928年生まれ。ジョン・フォード監督の名作『わが谷は緑なりき』(1941)での主演級の役どころなど、“天才子役”として数多くの映画に出演した。『名犬ラッシーの家路』(1943)で共演以来、エリザベス・テイラーの親友であったことも有名だ。 そんな彼も、子役を卒業する頃から低迷。やむなくハリウッドから離れ、その後ブロードウェイでキャリアを積み、30代になってから映画界へと戻った。それからは主に大作映画で脇を固めていたが、アラフォーの頃に大ヒットシリーズに主演級で出演する。『猿の惑星』シリーズ(1968~73)である。ご存知の方が多いと思うが、このシリーズでのロディは、特殊メイクでチンパンジーになり切っており、自分の顔は一切出ない。 そんなシリーズが終了するタイミングに、顔出しで主演したのが、この『ヘルハウス』なのである。そして本作でのロディの役どころは、30年前の調査での唯一の生き残りである、男性霊能力者フィッシャー。 フィッシャーは、30年前には十代中盤で、“天才少年霊能力者”と謳われる存在。しかし件の調査の際に、心身共に深く傷つき、その後世間から身を隠すように生きてきた。『ヘルハウス』は、そんな男が再チャレンジする話なのでもある。そして“ベラスコハウス”内でただ息を潜めて、「貝の殻に閉じ込もっていた」かのように見えたフィッシャーは、最後に大きな勝利を得る。 天才子役の時代から30年の歳月を経て、40代半ばにして本作に主演したロディ。キャスティングの際、作り手側にロディとフィッシャーを重ね合わせる意識がカケラもなかったとは、正直考えにくい。 本作から12年後、ロディは現代を舞台にした吸血鬼ホラーコメディ『フライトナイト』(1985)に出演する。大ヒットとなったこの作品でのロディの役どころは、気弱なヴァンパイアハンター、ピーター・ビンセント。当初はTV 番組の中だけの偽物のヴァンパイアハンターだったピーターだが、主人公の少年に救いを求められて、本物に成長する。 『ヘルハウス』でのフィッシャー役なしでは、考えにくいキャスティングである。そしてこのヴァンパイアハンターが当たり役となって、ロディは続編『フライトナイト2/バンパイヤの逆襲』(1988)にも再登場となった。 『ヘルハウス』の原作及び映画が、後の様々な作品に及ぼした影響なども考えながら観る。それもまた、本作の楽しみ方であろう。◾️
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PROGRAM/放送作品
猿の惑星
人間と猿が逆転した衝撃の世界、そして今も語り草となっているラスト──SF映画史に輝く金字塔
日本軍捕虜になった実体験を“猿の惑星”に置き換えたピエール・ブールのSF小説を映画化。アカデミー賞名誉賞に輝いた当時最先端の特殊メイクや、ジェリー・ゴールドスミスの原始的な音楽など見どころ満載だ。
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PROGRAM/放送作品
最後の猿の惑星
人類と猿が迎える未来は、共存か全滅か?オリジナル5部作の壮大なストーリーの幕を閉じる最終章
人類の文明が崩壊した核戦争後の世界を舞台に、地球が“猿の惑星”と化すかどうかの分岐点や、猿同士の対立を描く。語り部となる長老の猿としてジョン・ヒューストン監督が出演。
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PROGRAM/放送作品
猿の惑星・征服
人類の奴隷となった猿たちが革命に立ち上がる!“猿の惑星”誕生の原点に迫るSFシリーズ第4弾
前作で科学者夫婦コーネリアスとジーラの間に生まれたシーザーを主人公に描く第4作。人間に虐げられるシーザーの苦悩や都市部で巻き起こる猿の反乱は、リブート作『猿の惑星:創世記』の原点として見ても興味深い。
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PROGRAM/放送作品
新・猿の惑星
チンパンジー科学者夫婦が現代の地球へ──主人公を猿に代えて世界観を掘り下げるSFシリーズ第3弾
シリーズ第1作に次ぐ衝撃の結末を迎えた前作から一転、舞台を現代の地球に移し“猿の惑星”誕生までの物語をスタート。猿と人間が親交を深める一方、高度な猿の知能に脅威を抱く人間の心理も掘り下げられている。
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PROGRAM/放送作品
(吹)猿の惑星
人間と猿が逆転した衝撃の世界、そして今も語り草となっているラスト──SF映画史に輝く金字塔
日本軍捕虜になった実体験を“猿の惑星”に置き換えたピエール・ブールのSF小説を映画化。アカデミー賞名誉賞に輝いた当時最先端の特殊メイクや、ジェリー・ゴールドスミスの原始的な音楽など見どころ満載だ。
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PROGRAM/放送作品
ヘルハウス
悪霊に支配された館で起こる戦慄の怪現象…1970年代のオカルト映画ブームで異彩を放った英国ホラー
オカルト映画ブームで沸く1970年代に、派手さを排したリアルな恐怖描写に徹してじわじわと震え上がらせる本格派ホラー。『激突!』など多くの映画に原作を提供した作家リチャード・マシスンが自ら脚本を担当。