原題は"JEFF, WHO LIVES AT HOME"。30歳のジェフは、実家住まいのニート。

「ハッピーニート」という邦題ですが、物語の冒頭、ハッピー感はあまり感じられないいちニートです。さらに、M・ナイト・シャマラン監督(『シックス・センス』の監督)の『サイン』という映画に傾倒しておりここがまた残念感を助長しているわけですが、日々、自分への「サイン(神の啓示)」が落ちてこないか、ぼーっとテレビみながら探しているという「俺はまだ本気出してないだけ」状態というか、まぁ淡々とではありますが、それなりにあがいている日々。ある日「ケビンはいねーか?」という暴力的な間違い逆切れ電話が。思い当たるケビンという知人はいないものの、「これってサインじゃない?」というトンチンカンな雷に打たれて、「ケビン」探しにソファから腰を上げ、街へと繰り出します。バスで。バスケのユニフォームを来たB系の青年がバスに乗車してきて、目を疑うジェフ。なんと背番号には「KEVIN」という名前が!「運命みつかったし!」と彼をストーカーのごとく追いかけますが、あっという間に見つかり、ボコられ、命からがら逃げ出し…ジェフの兄パットもこれまた大人になりきれない中年男で、妻に黙って高級車を購入したりと万事が万事「楽しい事だけしていたい」タイプ。妻は彼の幼稚さに結婚生活継続の自信を無くし、激ギレ。そんなダメダメを息子に持った母(スーザン・サランドン)も「あの子たちをかわいいと思えない。子供の頃はかわいかったけど…」。そうでしょうとも。おっさんのナリをした子供なんてかわいいはずない!と、周囲の女性は彼らの精神的未熟さを持て余し、憤りを抱えているわけです。家族でも許せないダメさ加減なのか、家族だからこそ許せないのか。女性の現実を生きる強さと、男性のふわふわしてたい願望が、小気味よく描かれております。文字面にするともう逃げ場がないダメさ加減ですが、全体的にオフビートな笑い満載の本作。作り手が「憎めないよね、こいつら」という目線で愛情を持って2人を描いているのが伝わります。それは最後に起きる「小さな奇跡」でも証明されるのでお見逃しなく。意外と「おお!」と思う奇跡です。日本ではあまり知名度がない2人のコメディアン。ジェフ役のジェイソン・シーゲルはシットコム『ママと恋に落ちるまで』のレギュラーとして全米では大人気。1999年~放送の『フリークス学園』で注目され、『フリークス学園』の製作総指揮を務めたジャド・アパトーとはその後『無ケーカクの命中男/ノックトアップ』『寝取られ男のラブ♂バカンス』『40男のバージンロード』『40歳からの家族ケーカク』など、低予算ながらも確実に「面白い!」と思わせる作品でタッグを組む事に。ジャド・アパトーは2014年現在、全米の女性への影響力1番と言っても過言ではないレナ・ダナムを一躍スターにしたドラマ『GIRLS』の製作総指揮を務めています!そんな「才能のある人間をかぎ分ける」名プロデューサーに見いだされたシーゲル。その才能は折り紙つきで『寝取られ男のラブ♂バカンス』では脚本も担当。ディズニーのヒットシリーズ『マペット』の劇場版映画『ザ・マペッツ』では脚本と共に、製作総指揮も務めています。そして今をときめくミシェル・ウィリアムズの元カレでもあります!兄のパット役は「ハング・オーバー」シリーズのスチュ役でお馴染みのエド・ヘルムズ。2人のおっさん・ネクスト・ドア的な「いるいる」感が◎です!

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