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PROGRAM/放送作品
スピーシーズ/種の起源
[PG12相当]地球に送られてきたDNA情報から生まれた凶暴な宇宙生命体との戦いを描くSFホラー
実力派アカデミー賞俳優が2人も出演、にもかかわらず、分かりやすい展開とCGアクションと女優陣のヌードで魅せる、娯楽作に徹しきったSFホラー。圧倒的美貌を誇るナターシャ・ヘンストリッジのデビュー作だ。
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COLUMN/コラム2022.08.03
製作から30年。ニール・ジョーダンのインスピレーションとパッションの賜物!『クライング・ゲーム』
ニール・ジョーダンは、1950年生まれのアイルランド人。母が画家だったため、幼い頃から絵画に親しみ、17才で詩、戯曲を書き始めたというが、少年期から映画にも夢中だった。 当時のアイルランドは検閲が厳しく、上映が許可される作品は“宗教映画”ばかり。ジョーダンは、その手の作品を数多く観たというが、その一方で、ダブリンに2館だけ在ったアートシアターに通い、50年代末に始まる、フランスの映画運動“ヌーヴェルヴァーグ”の洗礼を受ける。更にはニコラス・レイ監督の『夜の人々』(1948)『理由なき反抗』(55)などに、大いにハマった。 国立のダブリン大学卒業後は、教師、俳優、ミュージシャンとして働きながら、小説家デビュー。処女短編集「チュニジアの夜」や、長編デビュー作「過去」が高く評価され。更には83年の長編第2作「獣の夢」で、作家としての地位を決定づける。 しかしテレビの台本を書いたのをきっかけに、活動の主な舞台を、映画界に移す。82年には、『脱出』(72)『エクスカリバー』(81)などで知られるジョン・ブアマンのプロデュースで、初監督作品『殺人天使』(日本では劇場未公開)を発表する。この作品の主演だったスティーブン・レイは、それまでは舞台やテレビを中心に活躍していたが、以降は映画にも積極的に出演。ジョーダン監督作の、常連となっていく。 本作『クライング・ゲーム』(92)は、実は『殺人天使』で映画監督デビューを果たした直後から、再びスティーブン・レイ主演の想定で、脚本の執筆をスタートした企画。順調に進めば、監督第2作となる可能性もあった。 ***** イギリス領内の北アイルランドに駐留する、黒人兵士。街の警備中、折々人種差別的な罵倒を受けて、傷ついていた。 そんな彼が、誘拐される。犯人は無差別テロも辞さない武装組織、「IRA=アイルランド共和国軍」。イギリスとの交渉材料として、兵士を拉致・監禁したのである。 その実行犯グループで、人質の見張り役となった男は、黒人兵士と会話を交わす内に、彼に友情を覚える。もしイギリス側が交渉に応えぬまま、時間切れとなった場合、彼を殺さなければならないのに…。 ***** 捕えた者と捕えられた者との間に友情が生まれるが、やがて殺す時がやってくる…。スティーブン・レイを想定して描かれた、「IRA」の見張り役と、人質の黒人兵士の関係は、ジョーダン監督曰く、アイルランド文学ではお馴染みの構図だという。 こうした物語に現実味を持たせるためには、実際に起こった事件の要素を加えた。黒人兵士はブロンドの女性に誘惑されて、拉致されるのだが、70年代にはバーなどで「IRA」の女性メンバーが、イギリス兵を引っ掛けて自宅に連れ帰り、射殺するという事件が、度々起こっていたのである。また当時は、民兵組織が敵対する国家などとの取引材料に、人質を取る事件も、頻発していた。 因みに「IRA」は、北アイルランドをイギリスから分離・独立させて、全アイルランドの統一を図るため、過激なテロ闘争を行っていた、実在の組織。善悪を単純化して描く、90年代ハリウッド映画などに度々登場したことから、映画ファンの間では当時、アラブ人テロリストなどと同様、“悪役”の印象が強かった。 しかし90年代中盤以降、「IRA」とイギリスとの間では和平交渉が進み、2000年代中盤には、武装闘争は終結に至っている…。 ***** 処刑までのタイムリミットが迫る中、黒人兵士は見張り役の「IRA」戦士に、最後の願いをする。ロンドンに居る恋人を捜し出し、「愛していた」と伝えてくれ。そしてその恋人の支えとなってくれと。「IRA」戦士は兵士との約束を守るべく、その“恋人”に会いに行くのだったが…。 ***** ジョーダン曰く、何度書いても、この「“恋人”に会いに行く」部分で、筆が止まってしまった。 そこでこの企画は、一旦棚上げに。ジョーダンは先に、「赤ずきん」をベースにしたファンタジーホラー『狼の血族』(84)、ナット・キング・コールの名曲に想を得た『モナリザ』(86)を発表。両作が国際的に高い評価を受け、ハリウッド進出まで果した後に、「“恋人”に会いに行く」後の展開を、再び考えることにした。 事態を大きく動かす妙案が、ジョーダンの頭に浮かんだ!兵士の“恋人”を、○○にすれば良いんだ!! パズルの大きなピースが埋まり、ジョーダンは“映画化”に向かって、邁進することとなる。そしてこのインスピレーションこそが、本作『クライング・ゲーム』(93)が初公開時、観る者の多くをして、「衝撃的!」と言わしめる結果をもたらしたのである。 それから30年近く経って、2022年の今だと、“恋人”が○○であることを、「衝撃的!」と受け止めにくくなっている。また本作はかなり有名な作品なので、実際に鑑賞していなくても、どんな展開が待ち受けているか、ご存じの方も少なくないだろう。 しかし敢えて今回は、本作を未見で、展開も知らない方々には、この後の文章を読むのは、鑑賞後まで控えることを、オススメしておく。 <以下、ネタバレがありますので、ご注意下さい> ***** 黒人兵士のジョディ(演:フォレスト・ウィティカー)を処刑できなかった、見張り役のファーガス(演:スティーブン・レイ)。しかしジョディは、「IRA」のアジトを急襲したイギリス軍車両に轢かれ、命を落としてしまう。 アジトが爆破される中、ファーガスは辛くも逃げ延びて、ロンドンに潜伏。ジョディの“恋人”で美容師のディル(演:ジェイ・デヴィッドソン)に会いに行く。 ジョディとの関わりは隠しながら、美しく魅力的なディルとの距離が近づいていく、ファーガス。ディルもそんな彼に惹かれ、やがて2人はベッドを共にするが…。 ディルの肉体は、“男性”だった! ショックを受けたファーガスは、一旦は彼女を拒絶。ディルを傷つけてしまうが、やがて仲直り。2人の不思議な関係が続いていく。 そんな時に、「IRA」の仲間だったジュード(演:ミランダ・リチャードソン)が現れ、テロ行為への加担を迫る。渋るファーガスだったが、ディルに危険が迫ることを避けるため、計画に加わらざるを得なくなる。 果たして、ファーガスとディルの運命は? ***** 物語を動かす大きなフックは見付かったものの、それが困難の始まりとも言えた。主人公が、イギリスを恐怖に陥れていた「IRA」のテロリストであることに加え、人種差別や性差別の問題にまで、踏み込んでしまっている。こんな企画に製作費を出してくれるスポンサーは、そう簡単には見付からない。 イギリスでは、全土で同性愛が違法ではなくなったのは、1982年のこと。それ以前に、性犯罪法で処罰を受けた男性の同性愛者たちの罪が赦免されるのは、2016年まで待たなければならなかった。 LBGTQやトランスジェンダーなどという言葉が一般的ではなかった93年に、ディルのようなヒロイン像というのは、斬新過ぎた。それに加えて、そのディルを演じられる俳優を見付けるのが、簡単ではなかった。 スティーブン・レイをはじめ、フォレスト・ウィティカー、ミランダ・リチャードソンと、他の主要キャストには、適役を得た。しかし「無名の黒人男性で、女性役ができる」という条件のヒロイン探しは、困難を極めたのである。 撮影開始まで8週間と迫った頃、ジョーダンは、かのスタンリー・キューブリックに相談した。キューブリックは先の条件を確認した上で、「画面に登場して30分は女性に思える」者を探すなど、「2年掛かっても、無理」と断定したという。 スタッフが手分けして、それらしい者が居そうな、ロンドンのクラブを回った。最終的には著名な映画監督で、自身ゲイだったデレク・ジャーマンからもたらされた情報で、ディルが見付かった。 ジェイ・デヴィッドソン。並外れて美しく、演技は未経験だったが、ジョーダンは“彼女”に決めた。 そしてジョーダン曰く、「完璧に自由な環境でしか撮れない映画」の製作が進められることとなった。「完璧に自由」ということは即ち、「完璧に金がない」ということでもあった。 いざ作品が完成して、92年10月のイギリスでの公開が近づくと、ジョーダンは評論家などに手紙をしたためた。本作の展開については「秘密厳守」、特に、ディルが“男性”であることを明かさないようにと、お願いする内容だった。 作品のデキが、素晴らしかったからだろう。評論家達は、ジョーダンの願いを聞き届け、「秘密」は守られた。 この展開はその年末の、アメリカ公開に当たっても、堅持された。本作はニューヨークを中心に大ヒット! ロングラン公開となって、アメリカのアカデミー賞でも6部門にノミネートされ、ジョーダンは“オリジナル脚本賞”を受賞する。 因みに日本での公開は、翌93年6月。その年の3月に開催されたアカデミー賞で、ジェイが“助演男優賞”の候補になっていること自体が、「ネタバレ」とも言えた。しかし公開に当たっては、ディルが“男性”であることは伏せられ、観た者にも「秘密」を広げないように、お願いがされた。 ところが実際にスクリーンに対峙すると、ファーガスがディルとベッドインして、彼女が“男性”であることを知る「衝撃的!」なシーンで、ディルの股間には、悪名高き“ボカし”が掛かっていたのである。日本では無粋な規制によって、本作の本質に関わる部分が、何が何やらわからない状態にされていたのが、逆に「衝撃的!」と言えた。 さて記してきた通りに、92年という時制の中で、「IRA」のテロリストである主人公や、心が“女性”である美しい男性ヒロイン等々の設定や仕掛けが、アクチュアル且つ先鋭的であった、本作『クライング・ゲーム』。30年経って、そうしたヴィヴィッドさは失われても、挿入される曲や寓話なども含めて、言葉や構成へのこだわりが、現在でも光り輝く。 また今作の後には、商業作品は『スターゲイト』(94)程度しか出演しなかったジェイ・デヴィッドソンは、その後本作で見せたような装いを捨てて、男性的な外見へと変貌を遂げたとも聞く。そうしたことも含めて、いま改めて観る価値が高い作品とも、言えるだろう。■ 『クライング・ゲーム』© COPYRIGHT PALACE (SOLDIER'S WIFE) LTD. AND NIPPON FILM DEVELOPMENT & FINANCE INC. 1992
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PROGRAM/放送作品
フェイク シティ ある男のルール
[PG-12]犯罪都市で信じられるのは自分だけ。キアヌ・リーヴスが孤高のハードボイルド刑事を演じる
『L.A.コンフィデンシャル』の原作者である犯罪小説の大御所ジェームズ・エルロイがオリジナル脚本を執筆。悪を倒すためなら手段を選ばない孤高のダーティ刑事を、キアヌ・リーヴスが影を帯びた熱演で魅せる。
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COLUMN/コラム2018.07.03
グラインドハウスなき時代の正統派グラインドハウス・ムービー。エロ・グロ・ナンセンスの三拍子揃ったシリーズ最高傑作!?『スピーシーズ2』
映画ファンであれば必ず1つや2つ、世間的な評価が低いにも関わらず愛してやまない映画というものがあるだろう。いわゆるGuilty Pleasure(罪悪感のある歓び)というやつだ。そもそも、人間の好みなんて千差万別。当たり前のことだが、不朽の名作と呼ばれる映画にしたって、必ずしも観客の100人中100人が満足するわけじゃない。反対に、10人しか満足しなかった映画が駄作だとも限らないだろう。たとえ一般受けはせずとも、一部観客層の琴線にはビシバシ触れる!という作品は少なくない。それが巡り巡ってカルト映画と呼ばれるようになるわけだが、筆者にとってはこの『スピーシーズ2』(’98)もその一つだ。 とりあえず、天下のimdbにおける評価は10点満点中半分以下の4.3点、映画批評サイト、ロッテン・トマトの評価に至っては100%中たったの9%である。世間の評価はかなり厳しいようだ。まあ、正直なところ低評価の理由も分からなくはない。なにしろ、基本はエログロ満載のB級SFホラー映画。全編に渡って血飛沫と内臓とオッパイがいっぱい(笑)。しまいにゃ、エイリアン同士の発情&交尾という、映画史上稀に見る珍シーンまで登場するナンセンスぶり。ハリウッドの老舗メジャー・スタジオMGMが製作したとは思えないようなえげつなさだ。しかし、それでもあえて声を大にして叫ぼう。エログロのいったい何が悪い!ゲテモノ上等!ナンセンス最高!エイリアンが交尾したって別にいいじゃないか!と。 ご存知の通り、’95年に劇場公開された1作目『スピーシーズ/種の起源』は、批評家から酷評されながらも興行収入1億1300万ドル以上の大ヒットを記録。おのずと続編が作られることになったわけだが、その2作目『スピーシーズ2』は、劇場の売り上げだけでは製作費を回収できないほど大コケしてしまった。しかし、である。その後シリーズが4作目まで継続されたことからも想像できるように、一部の観客層からは確実に支持されたのである。察するに、いろいろな意味でやり過ぎたのかもしれない。エロもグロもほどほどだった前作は、この種のカルト性の高い映画に免疫のないライトな映画ファンでも楽しめたと思うが、本作の場合は「さすがにここまで遠慮がないとぶっちゃけドン引くわ~」という反応が多くても不思議ではない。それほどまでに、今回は性描写も残酷描写も過激で露骨。逆に言うと、それが筆者のような好事家にとってたまらないポイントであり、本作が桁違いに大ヒットした1作目よりも遥かに愛おしい理由なのである。 まずは前作を簡単に振り返ってみよう。アメリカ政府の秘密研究機関から一人の少女(無名時代のミシェル・ウィリアムズ!)が脱走。その正体は、宇宙から届けられたメッセージに含まれた情報を基に、人間とエイリアンのDNAを融合させて作られたハイブリッド生命体「シル」だった。政府は早速、各方面の専門家を集めたチームを編成して追跡を開始。しかし、驚異的な速さで成人女性へと成長したシルは、やがて種を残すという生存本能のままに、生殖相手を求めて男たちを次々と襲っていく。先述したようにエロもグロもわりと控えめではあったものの、トップモデル出身で女優初挑戦のシル役ナターシャ・ヘンストリッジは魅力的だし、なによりも『エイリアン』(’79)で有名な芸術家H・R・ギーガーの手掛けた、艶めかしくもスタイリッシュな女性エイリアンのクリーチャー・デザインが素晴らしかった。このデザインはそのまま続編にも引き継がれている。 で、それから数年後の出来事を描く本作。アメリカは人類史上初の火星探査を成功させ、帰還した3人の宇宙飛行士たちは国民の英雄として歓迎されたのだが、実は彼らは知らぬ間にエイリアンに寄生されていた。一方、米軍施設ではシルのクローン、イヴ(ナターシャ・ヘンストリッジ再登板)を厳重な監視下に置き、エイリアン対策のためにその生態を徹底研究していた。そんな折、殺人事件の犠牲者の死体からエイリアンのDNAが発見され、宇宙飛行士たちの感染が発覚。イヴがテレパシーで彼らと繋がっていることを知った軍は、それを利用して再びエイリアン狩りに乗り出すこととなる…。 とまあ、ネタバレを避けるための大雑把なストーリー解説となったが、話の本筋としては前作の焼き直しに近いことがご理解いただけるだろう。つまり、生殖のため人間の異性を求めて殺人を繰り返すエイリアンと、その行方を捜して最悪の事態を食い止めようとする追跡チームの戦いだ。ただし、今回の追われる側は男性エイリアン。上院議員の息子であり、将来の大統領候補と目される宇宙飛行士パトリックだ。前作のシルと瓜二つの女性エイリアン、イヴは基本的に追う方の側。従って、前作では男たちが次々とシルの毒牙にかかったが、今回の犠牲者は大半が女性となる。死因は「妊娠」。どういうことかというと、エイリアンに寄生されたパトリックとセックスすることで「種付け」された女性たちが、その場でエイリアンの子供を妊娠。見る見るうちに腹が膨れ上がり、『エイリアン』のチェストバスターのごとく、赤ん坊が腹を破って飛び出してくるのだ。 なので、おのずと大胆なセックス・シーン&血みどろシーンのオンパレードとなる。もちろん、1作目でも同様のエログロ要素はあったものの、さすがにここまで露骨ではなかった(笑)。ある意味、R指定の限界に挑戦といった感じか。前作よりもっと過激に、もっとショッキングにというのは、この種の娯楽映画シリーズの鉄則みたいなものだが、それにしてもなかなか思い切っている。文字通り酒池肉林の3Pシーンなどは本作の白眉。そもそも本来、こうした下世話なキワモノ映画というのは、インディペンデント系の弱小スタジオがグラインドハウスと呼ばれる場末の映画館向けに低予算で製作・配給するものだったが、それをMGMのような大手スタジオが多額の予算をかけて作ったのだから、よくよく考えればまことに贅沢な話だ。ホームビデオの普及と大都市の再開発によって、グラインドハウスが消滅してしまった’90年代ならではの副産物と言えなくもないだろう。まあ、それゆえに一般受けの厳しいカルト映画になってしまったことも否めないのだけど。 また、特殊効果におけるCGの使用を最小限に抑えたことも良かった。例えばH・R・ギーガーのデザインしたエイリアン。1作目ではスティーヴ・ジョンソン率いる特殊効果チームが見事なまでにフェティッシュ感溢れるクリーチャー・スーツを作り上げたが、しかしアクション・シークエンスでは当時まだ発展途上にあったCGで再現してしまったため、その部分が明らかに見劣りしてしまうことは否めなかった。そこで、続編を作るにあたってプロデューサーのフランク・マンキューソ・ジュニア(『13日の金曜日』の製作者フランク・マンキューソの息子)から、特殊効果用の予算を「好きなように使って構わない」と別枠で丸ごと与えられたジョンソンは、CGを含むVFXよりも従来のSFXにこだわることを決めたという。これが結果的には大正解だったと言えるだろう。 実際に本編をご覧になれば分かると思うが、どの特殊効果シーンも仕上がりは非常にリアルだ。例えば、セックスの最中に興奮したパトリックがエイリアンへと変身しかけるシーン。実は、正常位で腰を振っているパトリックはシリコン製のダミーボディだ。体のあちこちから飛び出す触覚もCGではなく本物。スティーヴ・ジョンソンとスタッフの仕事ぶりは完璧で、そう言われなければ全く気付かない。後半で全身から触覚が飛び出すエイリアンのハイブリッド少年も同様にダミーボディ。鼻から触覚がニョロッと見えるシーンは、少年の顔を実物より大きめにシリコン素材で製作して使っている。当然、メインとなるエイリアンも人間が中に入ったクリーチャー・スーツと機械仕掛けのアニマトロニクス※を併用しており、おかげでクライマックスの交尾シーンも妙に生々しいものとなった。まあ、ヒューマノイド型の女性エイリアンと違って、四つ足動物型の男性エイリアンはさすがに作り物感が否めないものの、それでも当時の安っぽいCGで処理するよりは全然マシだ。もちろん、部分的にはCGも使用されているが、あくまでも補足的な加工手段に徹している。 ※アニマトロニクスとは生体を模したロボットを操作して撮影する特殊効果技術のこと 単純明快で分かりやすいストーリー展開も悪くない。変に高尚なメッセージ性を込めたりなどせず、どこまでも見世物映画に徹している潔さはむしろ評価すべきだろう。もったいぶった説明や前置きなども殆どなし。それは前作から一貫している。なので、ストーリーの進行はとても速い。監督は『チェンジリング』(’80)や『蜘蛛女』(’93)のピーター・メダック。あの職人肌の名匠がこんなトンデモ映画を!?と意外に思う向きもあるかもしれないが、しかしパワフルでタフな女と破滅へ向かって突き進む男の物語として、『蜘蛛女』と相通じるものも見出せるだろう。それに、そもそも何でもこなせるからこその職人監督。むしろ作り手としての懐の深さすら感じさせられるのではないか。 ちなみに、脚本家クリス・ブランカトーによると、当初の脚本では追う側のエイリアンも追われる側のエイリアンも女性という設定で、追われる側のエイリアン役にはナターシャ・ヘンストリッジと同じくモデル出身のシンディ・クロフォードを想定していたらしい。結局は製作者マンキューソ・ジュニアの要望で性別を変えることとなったわけだが、そちらのシンディ・クロフォード・バージョンも実現していたら面白かったように思う。なお、続く『スピーシーズ3 禁断の種』(’04)と『スピーシーズ4 新種覚醒』(’07)は、どちらもケーブル局Syfyで放送のテレビ・ムービーとして製作されている。 © 1998 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.. All Rights Reserved 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存 保存保存
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PROGRAM/放送作品
(吹)スピーシーズ/種の起源
[PG12相当]地球に送られてきたDNA情報から生まれた凶暴な宇宙生命体との戦いを描くSFホラー
実力派アカデミー賞俳優が2人も出演、にもかかわらず、分かりやすい展開とCGアクションと女優陣のヌードで魅せる、娯楽作に徹しきったSFホラー。圧倒的美貌を誇るナターシャ・ヘンストリッジのデビュー作だ。
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(吹)フェイク シティ ある男のルール
[PG-12]犯罪都市で信じられるのは自分だけ。キアヌ・リーヴスが孤高のハードボイルド刑事を演じる
『L.A.コンフィデンシャル』の原作者である犯罪小説の大御所ジェームズ・エルロイがオリジナル脚本を執筆。悪を倒すためなら手段を選ばない孤高のダーティ刑事を、キアヌ・リーヴスが影を帯びた熱演で魅せる。
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PROGRAM/放送作品
クライング・ゲーム【デジタルリマスター版】
[PG12相当]IRAのテロリストが危険な恋に落ちていく…名匠ニール・ジョーダン監督が織りなすラブ・サスペンス
ニール・ジョーダン監督が自ら脚本を担当。北アイルランド紛争をテーマに社会派ドラマとして幕開けしつつ、奇妙な友情や禁断の恋へと物語を掘り下げ、アカデミー脚本賞を受賞。官能的な映像美にも目を奪われる。
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PROGRAM/放送作品
パニック・ルーム
邸宅の要塞で壮絶な攻防が繰り広げられる!鬼才デヴィッド・フィンチャー監督の緊迫サスペンス
『ソーシャル・ネットワーク』の鬼才フィンチャー監督が先鋭的映像センスで描くサスペンス。娘を強盗から守るシングルマザー役にジョディ・フォスター。娘役は『トワイライト』シリーズのクリステン・スチュワート。
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PROGRAM/放送作品
メッセージ(2016)
異星人が示すメッセージの意味は?『ブレードランナー 2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴが放つ感動SF
人気SF作家テッド・チャンの短編をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映像化。地球へと飛来した異星人の言語解読に女性言語学者が挑む緊迫したSFを、静かな感動へと昇華させる。アカデミー賞音響賞(編集)を受賞。
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PROGRAM/放送作品
(吹)メッセージ(2016)
異星人が示すメッセージの意味は?『ブレードランナー 2049』のドゥニ・ヴィルヌーヴが放つ感動SF
人気SF作家テッド・チャンの短編をドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映像化。地球へと飛来した異星人の言語解読に女性言語学者が挑む緊迫したSFを、静かな感動へと昇華させる。アカデミー賞音響賞(編集)を受賞。