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PROGRAM/放送作品
マイ・ボディガード(2004)
[R15]ボディガードと少女の心温まる交流、そして壮絶な復讐劇。オスカー俳優&天才子役が感動の競演
心に傷を持つボディガードと無邪気な少女の交流、彼女を奪われた男の復讐劇を、トニー・スコット監督がサスペンスフルに描く。少女を守るため手段を選ばない主人公をデンゼル・ワシントンが鬼気迫る形相で熱演。
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COLUMN/コラム2020.06.29
ノエル・カワードとデヴィッド・リーン ~イギリスの偉大な才能のコラボが生んだ、 不朽の名作 『逢びき』
ミレニアムを目前にした、1999年。「イギリス映画協会」が、「20世紀のイギリス映画ベスト100」を発表した。 第1位に輝いたのは、キャロル・リード監督の『第三の男』(1949)。続く第2位が、本作『逢びき』(45)であった。 『逢びき』は、「第1回カンヌ国際映画祭」で“グランプリ”に輝いた他、アメリカの「アカデミー賞」で3部門にノミネートされるなど、製作・公開の時点で高く評価された。そして劇場にも、多くの観客を集めている。 しかし、「カンヌ」や「アカデミー賞」で話題になったり、大ヒットを飛ばした作品であっても、後の世に語り継がれることはなく、忘れ去られてしまう作品は、枚挙に暇がない。そんな中で本作は、イギリス映画史、いや世界の映画史に於いて、今でも燦然と輝く古典的な名作となっている。 本作の主人公は、30代の主婦ローラ(演:セリア・ジョンソン)。サラリーマンの夫と子どもたちと、平凡ながら幸せな家庭を築いていた。 彼女は毎週木曜日に、ロンドン郊外のミルフォードの町へ汽車で向かい、ショッピングや映画などを楽しんでいた。週に1度の、主婦の息抜きである。 ある時ミルフォードの駅で、汽車の煤がローラの目に入った。プラットフォーム横の喫茶室で困っていると、ちょうど居合わせた医師のアレック(演:トレヴァー・ハワード)が、親切に煤を除いてくれた。 1週間後の木曜、ローラとアレックは、ミルフォードの街角でばったりと再会。更にその翌週、ローラがレストランで独り昼食を食べていると、またも偶然にアレックが入店し、同席することとなった。 別の町で開業しているアレックは、毎週木曜だけ、友人の代診でこの町の病院に来ていた。その日の仕事を早上がりにした彼は、ローラと共に、映画を観に行く。 それ以来、週に1度、会う毎に親しくなり、会話も弾むようになった2人は、お互いに恋心を抱いている自分に気が付く。しかしアレックも、妻子ある身。2人の関係を進めることは、即ちお互いの家庭を壊すことになってしまう…。 思いが募ったアレックは、友人が留守にしているアパートに、ローラを誘う。一度は拒んで帰路に就こうとしたローラも、己の気持ちに抗い切れず、アレックが待つ部屋へと、足を運ぶ。 遂に一線を越えることになりそうだった、正にその時、予定より早くアレックの友人が帰宅。ローラは慌てて、外へと飛び出すのだった。 プラトニックな関係のまま、お互いの気持ちが、抜き差しならないものとなっていく。そんな2人が出した、結論とは…。 「元祖不倫映画」とも言われる本作だが、1974年にリチャード・バートンとソフィア・ローレンの共演で、TVムービーとしてリメイク(日本では76年に、『逢いびき』のタイトルで劇場公開)された他にも、様々な作品に影響を与えている。 特に有名なのは、ロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープが、ニューヨークを舞台に、プラトニックな不倫劇を繰り広げる、『恋におちて』(84)。またソフィア・コッポラ監督は、自らの出世作となった『ロスト・イン・トランスレーション』(03)に関して、本作の影響が大きいことを、明言している。 『逢びき』と言えば、作品の随所に流れる、セルゲイ・ラフマニノフの「ピアノ協奏曲 第二番」の切ない調べを思い浮かべる方も、多いだろう。後に、やはり“不倫の恋”を扱った、『旅愁』(50)や『七年目の浮気』(55)などでも使用されたが、それも本作あってのことと言える。 本作の映画音楽としては、ラスマニノフの「第二番」1曲だけが使われた。このようにクラシックの楽曲を1曲だけ、映画音楽に用いるという試みは、本作が初めてだったと言われる。後にイタリアの巨匠ルキノ・ヴィスコンティが、『夏の嵐』(54)でブルックナーの「交響楽第七番」、『ベニスに死す』(71)でマーラーの「交響楽第五番」を同じように使ったが、『逢びき』はその先駆けであった。またこの手法は、フランスのヌーヴェルヴァーグの監督たちにも、影響を与えている。 『逢びき』の原作者にして、製作者だったのは、ノエル・カワード(1899~1973)。俳優・作家・脚本家・演出家・映画監督、更には作詞・作曲まで手掛ける、イギリスの生んだ才人である。 カワードは、一時期イギリスの“ファッション・リーダー”的な存在でもあった。スカーフを首に巻いたり、タートルネックセーターを着たりは、若かりし日の彼が舞台上で披露したのが、“元祖”と言われる。 そんな“洒落者”のカワードは、第2次世界大戦が始まると、「戦争は憎しみの舞台であり、私には向いていない」と発言。「非国民」扱いを受ける騒ぎとなった。それに対して、彼の友人の一人で、当時海軍大臣だったウィンストン・チャーチルが、「あんなヤツ、戦争に行っても何の役にもたたない。一人ぐらい、愛だ恋だって歌ってるヤツがいたっていい」と、庇ってみせたという。 『逢びき』のイギリス公開は1945年11月、第2次大戦が終結して間もない頃。世情はまだ落ち着かなかったにも拘わらず、チャーチルの言を借りれば、「愛だ恋だ」の「元祖不倫映画」を製作したのは、正にカワードの面目躍如とも言えた。 『逢びき』は、デヴィッド・リーン(1908~91)の監督作品という意味でも、映画史的に重要である。後に“巨匠”の名を恣にするリーンだが、本作を以って、一躍世に知られる存在になったと言っても良いだろう リーンは二十歳の時に、映画界入り。当初は監督助手としてカチンコを叩いていたが、やがて編集技師として働くようになる。30代半ば近くまでの10数年は、そのキャリアを積み重ね、ローレンス・オリビエ主演の 『お気に召すまま』(36)、レスリー・ハワード主演の『ピグマリオン』(38)、マイケル・パウエル監督の『潜水艦轟沈す』(41)等々の作品に、クレジットされている。 彼の監督への道を開いたのが、ノエル・カワードだった。カワードが「イギリス情報省」からの要請で、製作・監督・脚本・主演を務めた『軍旗の下に』(42)の共同監督に、リーンを抜擢したのである。 共同監督はこれ1本だけだったが、カワードは、9歳下のリーンを大いに気に入った。その後自らのプロデュースで、自作の戯曲を映画化するに当たって、3本続けてリーンに監督を委ねた。『幸福なる種族』 (44)『陽気な幽霊』 (45)、そして『逢びき』である。 こうした経緯を考えると、『逢びき』はリーンの監督作というよりも、「カワード作品」と言うのが相応しいようにも思える。しかし原作となったカワードの戯曲「静物画」は、ミルフォード駅の喫茶室だけを舞台とする、短い一幕劇。それを考えると、“映画作家”としてのリーンが、本作でいかに才能を発揮したかも、見えてくる。 “映画化”に当たっては、駅の喫茶室を軸にしながらも、ローラとアレックが出会う街角やレストラン、デートで訪れる映画館や公園、密会に使おうとした友人の家からローラの自宅まで、舞台を広げている。戯曲の脚色に当たっては、カワードの関与も当然大きかったと思われるが、リーンは当時「シネギルド・プロ」という映画会社を共に営んでいた仲間、アンソニー・ハヴェロック・アラン、ロナルド・ニームと3人で脚色を行った上で、監督を務めている。 リーンの持ち味が、特に強く発揮されたように感じられるのは、喫茶室でアレックが自分の仕事について熱く語る姿に、ローラがつい見取れてしまうシーン。彼女が自分の恋心に気付く、この決定的な瞬間の演出と編集の呼吸が、正に“デヴィッド・リーン”であった。 「女が恋に落ちる」 「男女がどうしようもなく惹かれ合ってしまう」 こういった瞬間を、リーンほど的確に描出できる監督は、そうはいない。ほとんど男性しか登場しない、『戦場にかける橋』(57)『アラビアのロレンス』(62)の両作を撮ってからは、スペクタクル超大作を手掛ける、完全主義者の“巨匠”のイメージが強くなるリーンだが、こうした演出こそが本領とも言える。 それは初めて海外ロケに挑んだ『旅情』(55)、超大作路線に走った以降の、『ドクトルジバゴ』(65)『ライアンの娘』(70)といった作品にも見受けられる。特に『ライアンの娘』で、ヒロインがやはり“不倫の恋”に落ちるシークエンスの鮮烈さなどは、さすが『逢びき』から、キャリアを重ねてきた監督だと、舌を巻いてしまう。 こうした“瞬間”を活写出来るのは、リーン自身が、6回もの結婚を重ねた、「恋する男」だったからかも知れない。以前このコラムで『ドクトルジバゴ』を取り上げた時、リーンの諸作の大テーマは、「愛こそすべて」だと書いたが、その原点は『逢びき』にあると言えるだろう。 リーンは映画表現にとって彼の取っている態度を、「一に簡潔、二に決断、三に集中」であると語ったことがある。「つまり、何を描くかをよく狙い、これで行こうかと思ったら、断固ハラをきめ、ありとあらゆるものをその狙いのために集中する。つまり、恋愛と同じ要領さ」と。自らの演出術を説明するのに、“恋愛”に例える辺りも、実に“デヴィッド・リーン”なのであった。 さて冒頭で紹介した、「20世紀のイギリス映画ベスト100」。その第2位が『逢びき』だったわけだが、リーン監督作品は、続いて第3位に『アラビアのロレンス』(62)、第5位に『大いなる遺産』(46)と、上位10本の中だけで3本がランクインしている。「ベスト100」全体を見ると、11位に『戦場にかける橋』(57)、27位に『ドクトル・ジバゴ』(65)、46位に『オリヴァ・ツイスト』(48)、そして92位には、ノエル・カワードと共同監督したデビュー作『軍旗の下に』(42)まで入っている。 監督としてデビュー以来、鬼籍に入るまでの半世紀近くの間に、監督作品が16本。特に超大作路線に走って以降は寡作だったリーンだが、その内の、実に7本がランクインしている。 そうしたキャリアは、ノエル・カワードがプロデュースした、『逢びき』があったからこそ、始まったと言えるだろう。■ 『逢びき』© Copyright ITV plc (ITV Global Entertainment Ltd)
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PROGRAM/放送作品
インポッシブル
大津波によって引き裂かれた家族──再会をあきらめない親子の絆と愛情を感動的に描いた実話ドラマ
2004年12月26日に発生したスマトラ島沖地震による津波で被災したイギリス人一家の実話を映画化。壮絶な津波の衝撃だけでなく、被災した親子の絆が胸を打つ。トム・ホランドが主人公の息子役で映画デビュー。
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COLUMN/コラム2015.11.28
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2015年11月】うず潮
『ギャング・オブ・ニューヨーク』でコンビを組んだマーティン・スコセッシ×レオナルド・ディカプリオが再びタッグ!実在した大富豪ハワード・ヒューズの波乱の半生を、スケール満点で描いた伝記大作。 主演のハワード・ヒューズ役のディカプリオは憑依ぶりを発揮し、その存在感はさすがの一言。そして、ヒューズの恋人オスカー女優キャサリン・ヘプバーン役にはケイト・ブランシェット。若きヘプバーンを豪快でどこか可愛らしい彼女を見事に演じきり、アカデミー賞助演女優賞を見事獲得。さらに本作は1920~30年代の車や航空機、ファッションなどその時代を感じられ、ヒューズが製作した映画『地獄の天使』に登場する戦闘機バトルを再現したシーンは迫力満点。 ヒューズは映画の他に航空事業にも乗り出すのですが、軍事用に開発した巨大輸送機の飛行シーンは男子なら、是非見てほしいシーン。ロマンを感じます!この映画を見たあとは、ハワード・ヒューズについてもっと知りたくなりますよー。是非見たあとにググってみてくだい! ザ・シネマでは、こんな飛行機野郎たちが登場する映画を【男たちの大航空時代】と題して特集放送!本作のほか『レッド・バロン』『トラ・トラ・トラ・』を放送します!こちらもお楽しみに! ©2004 IMF. All Rights Reserved
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PROGRAM/放送作品
スコア
これぞ“演技合戦”!デ・ニーロvsエドワード・ノートン、演技巧者の競演が実現したクライム・サスペンス
マーロン・ブランド、ロバート・デ・ニーロ、エドワード・ノートン。ハリウッドを代表する演技派スター3人の豪華共演が実現したクライム・サスペンス。2004年に逝去したマーロン・ブランドの遺作となった。
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COLUMN/コラム2014.01.26
2014年2月のシネマ・ソムリエ
■2月1日『チェイシング・エイミー』 B・アフレックが恋にオクテな漫画家を演じたラブ・コメディ。レズビアンの女性にひと目惚れし、親友を巻き込んで奇妙な三角関係に陥っていく主人公の奮闘を綴る。 恋愛、友情、セックスというテーマを、赤裸々なストーリー展開と実感のこもったセリフで描出。米国インディーズの人気監督K・スミスの脚本が冴え渡っている。 開放的にセックスを語るエイミー役のJ・L・アダムスが魅力的。ヒロインと親友の板挟みになって苦悶する主人公が、最後に提案するまさかの解決策には誰もが仰天! ■2月8日『ゴーン・ベイビー・ゴーン』 『アルゴ』でアカデミー作品賞に輝いたB・アフレックの監督デビュー作。『ミスティック・リバー』などで知られるデニス・ルヘインの探偵小説に基づくミステリー劇だ。ボストンの住宅街で4歳の少女が失踪し、若き私立探偵とその恋人が捜索を開始。貧困や育児放棄などの社会問題を絡め、主人公が突きとめる意外な真相を描き出す。 渋い実力派キャストのアンサンブル、善と悪の境界が曖昧なテーマを観る者に問う骨太なドラマは見応え十分。日本で劇場未公開に終わったのが不思議なほどの秀作だ。 ■2月15日『パンズ・ラビリンス』 パシフィック・リム』も記憶に新しいG・デル・トロ監督によるダーク・ファンタジー。スペイン内戦後の1944年を背景に、空想力豊かな少女がたどる過酷な運命を描く。 残忍な将軍の養父に脅えるオフェリアが、迷宮の守り神パンと出会う。パンから3つの試練を課された彼女は、魔法の国に旅立つためにありったけの勇気を奮い起こす。 ギリシャ神話に登場する牧羊神パンの悪魔のごとき不気味さなど、クリーチャーの造形が圧巻。戦争の悲劇と少女の空想力の純真さを対比させたドラマも見事である。 ■2月22日『クラッシュ』 第78回アカデミー賞で下馬評を覆し、作品賞に輝いた社会派サスペンス。『ミリオンダラー・ベイビー』などの脚本家ポール・ハギスの鮮烈な監督デビュー作でもある。 白人の警官、黒人の強盗犯、ヒスパニック系の鍵屋など、さまざまな人種の人々の人生が交錯する2日間の物語。緻密で劇的なストーリー構成にぐいぐい引き込まれる。 ロサンゼルスを舞台にした群像劇に9.11以降の世相を反映させ、現代人の人間不信を鋭く描出。そこからあぶり出される“衝突”と“繋がり”というテーマが胸に響く。 『チェイシング・エイミー』©1996 Too Askew Productions, Inc. and Miramax 『ゴーン・ベイビー・ゴーン』©Miramax 『パンズ・ラビリンス』©2006 ESTUDIOS PICASSO,TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ 『クラッシュ』©2004 ApolloProScreen GmbH & Co. Filmproduktion KG. All rights reserved.
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PROGRAM/放送作品
80デイズ
胸躍る冒険とアクションが満載!名作『80日間世界一周』をジャッキー・チェン主演でリメイク
ジュール・ヴェルヌ原作の映画『80日間世界一周』をリメイク。ジャッキー・チェンによる痛快なアクションと冒険要素をバランスよく融合。アーノルド・シュワルツェネッガーら豪華スターのゲスト出演にも注目。
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COLUMN/コラム2013.08.30
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2013年9月】うず潮
マフィアに最愛の妻を殺され、ありえないくらい号泣するヴァン・ダムの姿はなかなか見られない!アクションスターが見せる苦悩する姿は、哀愁を感じます。さらに、落ち込むヴァン・ダムを献身的に助ける仲間の友情はぐっときます。でもそこはアクションスター。得意のマーシャルアーツ、バイク&カー・チェイス、銃撃戦で敵をぶった倒すその姿は、ほぼ最強!ハードなアクション映画が見たくなったらこの1本がお勧めです! © UKF3
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PROGRAM/放送作品
ドーン・オブ・ザ・デッド
[R-15]ゾンビの大群が猛スピードで迫る!ジョージ・A・ロメロ監督の傑作ホラーを現代風にリメイク
ジョージ・A・ロメロ監督の傑作『ゾンビ』をザック・スナイダー監督がリメイク。従来の歩行型とは違って全速力で追いかけてくるゾンビの猛威がスリリング。演技派女優サラ・ポーリーがホラー・ヒロインを熱演。
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COLUMN/コラム2009.08.21
男たちの誇りが、テキサスを変える。『アラモ』
「アラモの戦い」はアメリカ人が米国史を語る上で欠かせない出来事だという。それは、テキサス革命における激戦の一つだ。1835年に始まったテキサス革命とは、メキシコの一州(これが後のテキサス共和国となり、さらに後にアメリカ合衆国の一州となる)が、当時のメキシコのサンタ・アナ大統領による独裁体制下から独立を果たそうとして起こした戦争のことをさす。この革命には有名な2つの戦いがある。負け戦となった「アラモの戦い」と、「サンジャシントの戦い」と呼ばれる勝利戦だ。今回放送する『アラモ』では、タイトル通り、「アラモの戦い」の描写が映画全体の約8割を占めている。単純に考えれば勝利戦「サンジャシントの戦い」の方を描きそうなものだが、テキサス革命においては、この敗北がなければ独立できなかったという点で、「アラモの戦い」の方が象徴となっているのである。映画『アラモ』には、魅力的なリーダーが4人登場する。 ■ジム・ボウイ ジム・ボウイは、有名な“ボウイナイフ”にその名を留めることになるほどの、ナイフの名手。情熱的で自由な心を持ち、優しい人柄も評判だった。 ■ウィリアム・トラヴィス ウィリアム・トラヴィスは、中佐に就任したばかりの青年で、後に病にかかるボウイに代わり、軍の指揮を任される。短気で反抗心が強い性格ゆえ部下に疎まれるが、次第に立派な指揮官へと成長してゆく。 ■デイヴィ・クロケット デイヴィ・クロケットは元下院議員。頭が良く、ボウイ同様に軍の仲間に頼りにされる存在。残念ながら彼らは「アラモの戦い」で戦死するが、それはある意味で当然のことだった。なぜならメキシコ軍1,600人に対してテキサス軍はわずか200人弱。誰が見ても劣勢な戦いに彼らは挑んだのだ。 ■サム・ヒューストン そして、4人目のリーダーが、サム・ヒューストン将軍である。「サンジャシントの戦い」で、メキシコに比べて少ない兵力にもかかわらず、彼に率いられたテキサス軍は見事勝利をおさめることになるのだ。「アラモの戦い」がテキサス軍を奮い立たせたことは間違いない。それは独立をまさに勝ち取ろうとするとき、ヒューストン将軍が叫んだ「アラモを忘れるな!」という名ゼリフにも現れている。「アラモの戦い」がテキサス軍を奮い立たせたことは間違いない。それは独立をまさに勝ち取ろうとするとき、ヒューストン将軍が叫んだ「アラモを忘れるな!」という名ゼリフにも現れている。ちなみに現在のテキサス州ヒューストンの地名は、この一言で歴史上の人物となった彼の名に由来している。さて、この、映画にするには持って来いの歴史の一幕。最新作は2004年制作だが、1960年にも映画化されている。 1960年版『アラモ』で監督・製作を務め、さらには主役のクロケットを演じたのがジョン・ウェイン。西部劇を代表する大スターがいかに情熱をかけたかは、その熱演ぶりを観ればわかる。2004年版『アラモ』でビリー・ボブ・ソーントンが演じたクロケットは硬派だったが、ジョン・ウェインはそれよりも幾分か軟派な印象。笑顔も多く、パーティで喧嘩をふっかけられ、殴っても殴られてもニコニコしている。この、なんとも憎めないクロケットの人物像にスポットライトを当てているのも、旧『アラモ』の特徴のひとつだ。だけど私は、個人的には2004年ビリー・ボブ版クロケットも捨てがたい。冒頭からカッコイイ〜と見とれていたクロケットが、最後にもばっちりキメてくれるから。彼が戦死する間際のシーンが、とても印象的なのだ。サンタ・アナに捕らえられてしまい、命を奪われるのも時間の問題、というその時。格好良い彼が「覚えてろよ、コノヤロウ!」なんてダサい台詞を吐くはずもない。「忘れるな。俺は...叫ぶ男だ」「うぁぁぁぁぁーーーーーっ」クロケットが叫ぶ。命尽きる直前に「叫ぶ」なんて、予想もしなかった。暴力を振るうでもなく、黙っているわけでもなく、命尽きる前の叫びが、世界に響く瞬間。鳥肌が立つほど痺れた。あの数秒間が2004年版『アラモ』のベストシーンと言って過言ではない。そのシーンは見ていただくとして、男たちの「誇り」。それが、この新旧『アラモ』に共通した、一貫したテーマではないだろうか。『アラモ』の4人のリーダーたちを突き動かしたのは「誇り」にほかならない。私は、そこにはやはり、なんとも形容できない美しさがあると感じてしまう。メキシコで、アメリカ人(正確にはアメリカ系メキシコ人)が独裁者に弾圧されている。彼らの心にある、アメリカ人であることの「誇り」が、怒りに火をつけ、ある者はテキサスで蜂起し、またある者ははるばるアメリカ本国からはるかメキシコのアラモまで救援にやって来たのだ。私ごとながら、在日韓国人の私は、幼い頃から「自分の民族に誇りを持ちなさい」と言われ続けて育った。しかし、ほぼ訪れたことのない土地や、ルーツや、文化を誇りに思えだなんて、いまだに妙だとしか思えない。むしろ日本の素晴らしいところの方が詳しく話せる自信がある。特に日本文化への愛着は、無意識に染みついているものだ。でも、それを誇るって、難しい。これを読む皆さんが「これが私の誇り」と言えることは、何だろう? 仕事や家族などさまざまな「誇り」があると思う。私の「誇り」のひとつは友達だ。とことんマイペースな私をいつも慕ってくれる友人達は、誇りであり、大切なものだ。だけど、国や民族を「誇り」に思える何かは、まだ見つからない。籍がどうこうじゃなく、韓国にせよ、日本にせよ、私が国だとか民族だとかに「誇り」を持てるようになるには、しばらく時間がかかりそうだ。■( 韓 奈侑) 『アラモ(1960)』© 1960 METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC. ALL RIGHTS RESERVED『アラモ(2004)』© Touchstone Pictures. All rights reserved