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PROGRAM/放送作品
アンストッパブル(2010)
時速160kmの怪物…無人の暴走列車を止めろ!デンゼル・ワシントン主演の実話パニック・アクション
米国で実際に起きた列車事故に着想を得たパニック・アクション。トニー・スコット監督&デンゼル・ワシントンが5度目のコンビを組み、本物の列車を使ったリアルな映像や危険なスタントで迫真の興奮を醸し出す。
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COLUMN/コラム2022.12.06
『ジェイソン・ボーン』シリーズより先行した多動的カメラワークとカオス編集『マイ・ボディガード』
「メキシコでは1時間に1件の誘拐事件が発生し、人質の70%は生還されず殺される」 2004年にトニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン主演で発表された映画『マイ・ボディガード』は、このラテンアメリカでの誘拐に関する当時の実情を示して幕を開ける。本作の主人公であるクリーシー(ワシントン)は引退したCIAの対テロ工作員で、彼は自身のキャリアを血塗られたものとして後悔している。そんな彼の陰鬱な感情をはらおうと、元同僚のレイバーン(クリストファー・ウォーケン)は、クリーシーにピタ(ダコタ・ファニング)という少女のボディガードとして、メキシコシティで仕事をするようはからう。 警護にあたった当初は、クリーシーはピタとの感情的な壁を取り去ることができずにいたが、次第に二人は父娘にも似た絆を形成していく。そして映画は、少女の無垢な愛情が、一人の男を心の闇から解放する過程を表現豊かに捉えていくのだ。 しかし物語は予期せぬ事態によって、クリーシーは自らのささやさな幸福を破壊した者に対し、忌まわしいと捨て去ったスキルを用いることになる——。 原作はバイオレンス小説を過半とするイギリスの大家、A・J・クィネルが1980年に発表した「燃える男」。監督のトニー・スコットは吸血鬼伝説をモダンにアレンジした劇場長編デビュー作『ハンガー』(83) に次ぎ、出版ほどなくベストセラーとなった同作を手がけるつもりだった。もともとクィネルのファンだったスコットは、『ハンガー』公開後に早くも映画化の予算を獲得しようと動いたのである。しかし当時、彼はまだ兄リドリー・スコットの会社のCMディレクターだったために資金を確保できず、代わりにジェリー・ブラッカイマーより打診のあった『トップガン』(86) に着手する。 いっぽう「燃える男」は1987年にプロデューサーのアーノン・ミルチャンとロバート・ベンムッサが仏伊米合作で映画化を果たし、俳優陣についてはスコット・グレンがクリーシーを、ジョー・ペシが彼の友人でありパートナーのデヴィッドに扮し、ジェイド・マルが少女サマンサ役で出演した。アメリカでは同年10月9日に178の劇場で公開され、わずか519,000ドルの興行収入しか得られず、ビデオやテレビ放送などの二次収益に頼るしかなかった。 奇しくも『マイ・ボディガード』企画の再浮上は、この『マン・オン・ファイア』の二次収益媒体が大きく関与する。後年、ミルチャンがテレビで本作を見たとき、彼は翌朝トニーに電話し、自分がまだ「燃える男」の権利を持っており、再映画化に興味があるかどうか、そして『マン・オン・ファイア』が示したものより多くの可能性があるかどうかを訊いた。スコットは今なら「燃える男」を壮大で理想的な自身の作品として世に送り出せる自信があり、クィネルへの再アクセスはいつでも可能であることをミルチャンに示したのだ。 同時にスコットは脚本家にあたりをつけ、シルベスター・スタローンとアントニオ・バンデラス共演のアクションスリラー『暗殺者』(95) や、ジェームズ・エルロイ原作の犯罪サスペンス『L.A.コンフィデンシャル』(97) で注目中のブライアン・ヘルゲランドに依頼した。 スコットは彼が脚本を手がけた『ミスティック・リバー』(03) を気に入っており、偶然にもヘルゲランドは『マン・オン・ファイア』の存在を熟知していた。1989年、カリフォルニア州マンハッタンビーチで、彼は地元のレンタルビデオ店をよく訪れ、おすすめを尋ねていた。そこでクエンティン・タランティーノ(!)という脚本家志望の店員が同作のビデオを勧めてくれたのだという。オファー当時、ヘルゲランドは監督業に移行しようとしていたことから乗り気ではなかったが、スコットに代わって自分が同作の監督をやる可能性をミルチャンに示唆され、依頼を受けた。 ヘルゲランドの脚色は原作から多くのセリフを引用し、クィネルへのリスペクトを示したが、クライマックスを原作とは異なるものにした。小説は実際に起こった2つの誘拐事件からインスパイアされ、そのためクィネルは事件と同じような結末を維持したが、映画では独自の展開が用意されている。それはピタによって人間的感情を取り戻したクリーシーの贖罪といえるもので、彼とピタとの友情をパイプにしたエモーショナルな改変である。 しかし舞台となるイタリアが、映画製作時には小説執筆時の頃よりも犯罪率が低下していたため、製作サイドは物語の信憑性を損ねることを懸念。彼らは映画の舞台となる場所を変更することにした。前掲の「メキシコでは1時間に1件の誘拐事件」は、こうした経緯を抜きには語れぬ重要なリードなのだ。 また劇中における俳優たちのパフォーマンスも、この映画を観る者との感情の同期に貢献している。たとえば物語の当初、クリーシーがピタのボディガードを引き受けたことを後悔していたとき、実際にデンゼル・ワシントンはセットでファニングと距離を保ち、積極的にコンタクトをとることを避けたという。そして物語の過程でクリーシーがピタに親しみを覚えると、ワシントンは舞台裏で同じように接したのだ。ワシントンとファニングはお互いに見事なボレーを交わし、彼らの即興演出は対話に迫真性をもたらしたのである。 だが最も作品において効果的に貢献したのは、監督トニー・スコットによる多動的カメラワークとカオスに満ちた編集だろう。きめ細かなグラデーションフィルターの選択や大胆なジャンプカット、あるいはクイックズームに可変速度効果など、これらはクリーシーの感情に合わせて変化していく。加えて本作ではキャプションを活かしたタイポグラフィも目を引くが、これはスコットがBMWのPVを演出したとき、ジェームズ・ブラウンのセリフをスタリュシュに加工した効果を適応させたもので、映画の中でもひときわ強い印象を残す。 James Brown - Beat The Devil (2002) しかし、こうした効果が評論家の目には装飾的にしか映らず、その頃はむしろ批判の対象として捉えられる傾向にあったようだ。映画評論の権威ロジャー・エバートは本作を評し「この映画には、長さとスタイルを正当化するための深みが必要だ」と断じたが、これなどはその短絡的な解釈の顕著な例だろう。 だが『マイ・ボディガード』の映像的・あるいは編集に見られる傾向は、そのスタイルがドラマや登場人物の推移を巧みに視覚化したものとして再評価の機会が待たれる。何より本作の公開は、あの多動的表現でアクション映画の気流を変えた『ボーン・スプレマシー』(04) より公開が3ヶ月早く、その先進性を改めて問うべきだろう。なにより『マイ・ボディガード』は日本公開時、全体的によく編集された印象のある劇場用パンフレットにも、最大の貢献者であるトニー・スコットに関する記述が少なく、そこも画竜点睛を欠く口惜しさは否めなかった。本作を叩き台に、監督への言及が活発化することを望みたい。■ 『マイ・ボディガード(2004)』© 2004 Twentieth Century Fox Film Corporation and Monarchy Enterprises S.a.r.l. All rights reserved.
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PROGRAM/放送作品
リトル・シングス
[PG12相当]連続殺人事件の捜査が思わぬ方向へ──実力派俳優の豪華競演で贈る犯罪サスペンス
ジョン・リー・ハンコックが1990年代に執筆した脚本を自ら映画化。デンゼル・ワシントン、ラミ・マレック、ジャレッド・レトーのオスカー俳優3人が、殺人事件を追う刑事と容疑者の駆け引きを緊張感満点に熱演。
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COLUMN/コラム2017.05.15
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2017年6月】キャロル
私立探偵イージー・ローリンズを描くウォルター・モズレイの超人気ハードボイルド小説を映画化。主演はデンゼル・ワシントン、製作総指揮は『羊たちの沈黙』の名監督ジョナサン・デミ、ヒロインを演じるのは『フラッシュ・ダンス』のジェニファー・ビールス。 1995年製作のこの映画、見ごたえがあって実に面白い。物語のはじめでは、主人公の人柄や置かれた状況、いよいよ事件に巻き込まれる様が、適度な緊張感を保ちながらもじっくりと描かれ、あっという間に引き込まれてしまう。さらに、事件の鍵を握る女が一体どれほどの女なのか否が応でも期待が高まる中、ついに登場する“青いドレスの女”ジェニファー・ビールスの神々しい美しさときたら。 最近の映画ってものすごくカットが短い上に、展開がとにかく早い。勢いに任せて見せられてしまう感じがあって、面白かったとしてもすぐに忘れてしまうことが多いような気がしている。そんな折、偶然出逢った本作は、私の中で何日も何週間も、ずっといい後味を残している。6月のザ・シネマで、是非ご覧下さい。■ © 1995 TriStar Pictures, Inc. All Rights Reserved.
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PROGRAM/放送作品
バーチュオシティ
人工生命体と元刑事の戦いをデンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの共演で描く、SFアクション
バーチャルの世界から現実空間へ逃亡した凶悪な人工生命体と、それを追う元刑事の姿を描いたSFサスペンスアクション。デンゼル・ワシントンとラッセル・クロウの共演のほか、CGを駆使したビジュアルも見所。
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COLUMN/コラム2016.11.29
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2016年12月】キャロル
1990年『グローリー』でアカデミー賞助演男優賞を受賞し、その後主演男優賞に2度ノミネートされ“もっともアカデミー主演男優賞に近い黒人俳優”としてその日を期待されていたデンゼル・ワシントンが、ついに2001年に受賞を果たしたのが本作『トレーニング デイ』。今や善、悪、そのどちらでもないグレーな役など、さまざまな人物を演じられる実力派名俳優ですが、公開当時は軍人や弁護士といった正義感あふれる真面目なイメージが強かった彼が、本作ではそれらのキャラクターからは想像できない、キャリア初の悪役(しかも超こわい悪徳刑事)を演じたというのが最大の見所でした。2017年公開、名作西部劇『荒野の七人』のリメイク『マグニフィセント・セブン』の公開が待ち遠しいですね!主演デンゼル・ワシントンの名声を確固たるものにした『トレーニング・デイ』を、ザ・シネマでどうぞお楽しみに。 COPYRIGHT © 2016 PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
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PROGRAM/放送作品
(吹)戦火の勇気 【日曜洋画劇場版】
食い違う証言…女性軍人が戦死した真実は?デンゼル・ワシントン&メグ・ライアン競演の戦争ドラマ
ハリウッドで初めて湾岸戦争を題材にした作品。女性大尉が戦死した真相を巡って複数の証言が食い違う、『羅生門』形式の語り口が秀逸。証言に合わせて3パターンの人物像を演じるメグ・ライアンの熱演も必見。
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COLUMN/コラム2012.04.01
個人的に熱烈推薦!編成部スタッフ1人1本レコメンド 【2012年4月】山田
「いい人役」をやらせたらピカイチ、あのデンゼル・ワシントンが、ダーティすぎる悪徳刑事を凄みたっぷり、恐すぎる迫力で演じ、見事アカデミー主演男優賞に輝いた刑事ドラマ。ブリンブリンな服を身にまとい、本編を通して、「これでもか」のえげつない演技を見せてくれるものの、ふとしたときに出てしまう、あの「いい人オーラ」は隠しようがありません。対するは、男前だがいつもどこか間の抜けている表情のイーサン・ホーク。いかにも新米な雰囲気を醸し出しつつ、全力で振り回される演技(?)を見せ付けてくれる。話自体もテンポよく飽きのこない展開であるが、何よりキャスティングが素晴らしいなと思います。 TM & © Warner Bros. Entertainment Inc.
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PROGRAM/放送作品
戦火の勇気
食い違う証言…女性軍人が戦死した真実は?デンゼル・ワシントン&メグ・ライアン競演の戦争ドラマ
ハリウッドで初めて湾岸戦争を題材にした作品。女性大尉が戦死した真相を巡って複数の証言が食い違う、『羅生門』形式の語り口が秀逸。証言に合わせて3パターンの人物像を演じるメグ・ライアンの熱演も必見。
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COLUMN/コラム2009.06.21
『クライシス・オブ・アメリカ』が描くアメリカの不安
体験や感情を言葉で説明することは難しい。映画を観て感動したとか、美味しかった料理の味とか、印象が鮮烈で強烈であればあるほど、その気持ちを人に伝えることは難しい。そのなかでも、いくら語ろうとしても語れない、伝えきれない最たるものが、不安や恐怖かもしれない。しかし『羊たちの沈黙』、『レイチェルの恋人』のジョナサン・デミが62年にも映画化されたリチャード・コンドンの原作小説『影なき狙撃者』を、現代風にアレンジして作り上げた『クライシス・オブ・アメリカ』は、アメリカが抱える漠とした不安を感じさせることに成功している。湾岸戦争下、ベン・マルコ(デンゼル・ワシントン)率いる小隊が、敵の奇襲攻撃に遭ってしまう。その危機を救ったのは他の隊員とは馴染めずにいた、いわば落ちこぼれの隊員レイモンド・ショー軍曹(リーヴ・シュレイバー)。そして終戦後、ショーはその行為がきっかけで隊員時代には誰も予想していなかった時代を象徴する英雄になり、大物上院議員である母エレノアの強力な後ろ盾のもと、政界へと進出。若くして副大統領候補にまで選出される。一方、マルコはある悩みを抱えながら、終戦後も軍務を続けていた。その悩みとは、部隊の危機を救った英雄のショーが、仲間の隊員を殺している夢を観ることだった。事実とはまるで反対の夢を繰り返し見るマルコ。しかし、それがただの夢とはどうしても信じ切れず、ついに独自の調査を開始する。そうして、マルコはやがて自分たちの記憶が、“何かあったとき”のための個人情報、として体内に埋め込まれたチップによって書き換えられていたことを知り、やがて背後にある大きな陰謀に気づく・・・というのが今作のあらすじ。劇中、悪夢にうなされるマルコを、軍の上司が湾岸戦争症候群ではないのかと指摘するシーンがある。湾岸戦争の体験がトラウマとなり、それが不眠や記憶障害など様々な病状を引き起こしているのではないかというのである。『クライシス・オブ・アメリカ』が公開されたのは2005年。湾岸戦争が始まったのは1991年。ちょっと話がそれるが、この湾岸戦争症候群をもう少し詳しく説明すると、帰還兵のうち、一説では10万人以上がこの症状を経験したとされている。しかし、医学的にこの症状は十分に解明されていない。戦争体験という強烈なストレスによるものという意見もあれば、化学兵器や生物兵器など多数の有毒物質にさらされていたからという意見もある。なかには、そんな症候群はそもそも存在しないのだという意見さえある。『クライシス・オブ・アメリカ』は、同じサスペンスでも、ジョナサン・デミの代表作『羊たちの沈黙』のように、研ぎ澄まされたナイフのようなキレはない。前述した湾岸戦争症候群、一人の個人によって、国の方向性が大きく変化しかねないアメリカ大統領制が抱える問題、テロリズムへの恐怖など少々描きたいテーマを盛り込みすぎて、焦点がはっきりしない印象も否めない。でもそんな目に見えない不安を描こうとしているところにこそ、湾岸戦争、アメリカ同時多発テロ、イラク戦争を経たアメリカが抱える不安と、自分たちが正義だと思ってきたことが、必ずしも世界ではそう思われていない。そのことに、否応なく気づかされたアメリカという国の苦悩が見て取れる。そんなわけで、この映画を観て、ますますオバマ政権後のアメリカが気になった僕でありました。■(奥田高大) TM & copyright © 2005 by PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved