検索結果
-
PROGRAM/放送作品
ファーゴ
[R15+]狂言誘拐がいつしか殺人事件に変貌。コーエン兄弟を一躍有名にしたシュールな犯罪サスペンス
監督・製作・脚本を手がけたコーエン兄弟を一躍有名にしたシュールでブラックな犯罪サスペンス。今作でコーエン監督はアカデミー脚本賞を受賞。警察官を演じたフランシス・マクドーマンドは主演女優賞を獲得した。
-
COLUMN/コラム2021.10.01
悲壮にして喜劇。コーエン兄弟映画としての完成形『ファーゴ』
◆不器用な誘拐犯罪が誘引するユーモアと暴力 『ブラッド・シンプル』(84)『赤ちゃん泥棒』(87)『ミラーズ・クロッシング』(90)そして『未来は今』(94)など、異彩を放つノワールジャンルやオフビートコメディを監督してきた兄弟監督のジョエル&イーサン・コーエンは、本作『ファーゴ』(96)で会心の傑作をモノにした。この異様なバランス感覚のもとで調律された犯罪サスペンスは、通常の同ジャンルのものとは異なる映画体験を観る者に与える。 車のセールスマン、ジェリー・ランディガード(ウィリアム・H・メイシー)は多額の借金を抱えていた。そこで彼はふたりの誘拐犯(スティーブ・ブシェミ、ピーター・ストーメア)をやとって妻を誘拐し、裕福な義父ウェイド(ハーヴ・プレスネル)に身代金を要求することで問題を解決しようとしたのだ。 ところが彼らの不器用な計画は、すべてが裏目に出てしまう。特に二人が行きがかりでパトロール中の警官と目撃者を殺害したことから、事態は深刻な問題へと発展。それらの殺人事件が妊娠中の女性警察署長マージ・ガンダーソン(フランシス・マクドーマンド)の知るところとなり、優秀な彼女は冷静に解決へと導いていく。 映画は冒頭「本作は1987年にミネソタ州で起こった実話に基づいているが、生存者への希望から名前を変更しており、それ以外は起こったとおりに正確に語られている」というキャプションから始まる。本当はコーエン兄弟がオリジナルにまとめたストーリーで、それは地味に始まる作品にインパクトを与えるためだと二人は証言している。しかしこのハッタリの利いた冒頭文が、観る者の物語に対する構えをもたらし、特別な感情を増幅させるのだ。またクランクインからしばらくの間、キャストにも脚本が史実のアダプトだと思い込ませており、俳優の演技に真実味を持たせることに成功している。 なにより『ファーゴ』は劇中の事態が悪くなっていくにつれ、逆行して映画としての優秀性を放ち始める。派手ではないが、寒気をもよおす悲壮さと呆れるような滑稽さで充ち満ち、コーエン兄弟の演出的意匠や独自の視覚スタイルは、それらを合理的に引き立てていく。監督自身の出身地である北西部北部のノースダコタ州とミネソタ州に焦点を合わせ、独特の土地柄を活かした人間性や生活感をコントラストとし、それがユーモアのひとつとして機能する。特に現地民の発するミネソタ訛りは、映画に妙なリズムの狂いと調子のはずれた雰囲気を醸し出させ、本作独自の濃厚なカラーとなっている。 ◆名匠ロジャー・ディーキンスの撮影スタイル また『ファーゴ』の作品的特徴として、本作のシネマトグラファーであるロジャー・ディーキンス(『ブレードランナー 2049』(17)『1917 命をかけた伝令』(20)で2度の米アカデミー賞撮影賞を受賞)による撮影の取り組みが瞠目に値する。それまではコーエン兄弟のパートナー的存在として、バリー・ソネンフェルドが指導していたが、彼が『アダムス・ファミリー』(91)を機に監督業へと移行し、新たにディーキンスに白羽の矢が立ったのだ。 結果、キャリアの初期は機動性を重視したコーエン兄弟作品のカメラモーションは、スタイルをトーンダウンさせ、より観察的で定点的なアプローチを取る方向へと移行。雪と灰色の空に満ちたワイドショットやロングショットを多用し、長く拡がりが構成された白色のフレームを構築。その他あらゆる視覚テクニックをクリエイティブに使用し、劇中において特定の事象に注意を向けさせる画作りが徹底された。 『ファーゴ』はインデペンデント作品らしい限られた予算の中で、小さなバスルームのセットを除き、ミネソタとノースダコタ州で実際に使われている施設や場所を使って撮影されている。窓から射し込む外光を利用したり、既存の照明を増強するなど撮影は効率的におこなわれ、それが同作のリアルな外観へとつながっている。 ところが1995年の冬におこなわれた屋外撮影では、ここ100年間で2番目に気温の高い暖冬の影響を受け、雪を製造機で偽造する必要に迫られた。他にも氷点下におけるカメラ機材の問題など、ロケならではの困難とも格闘している。 だがその甲斐あって、コーエン兄弟は最初の『ブラッドシンプル』以来、ダークなユーモアと妥協のない凄惨な暴力とを融合させるスタイルに焦点を合わせ、それを本作において見事なまでに確立させた。この感覚は米アカデミー賞作品賞を筆頭に当時の賞レースを総ナメした『ノーカントリー』(07)で認められることとなる。 もちろん『ファーゴ』自体も商業的な成功と評論家の高い評価を得た。第69回米アカデミー賞では最優秀作品賞や最優秀監督賞を含む7つのノミネートを受け、コーエン兄弟はオリジナル脚本賞を、マージを演じたフランシス・マクドーマンドは最優秀女優賞を受賞。そして後年になり、米国の放送映画批評家協会(Broadcast Film Critics Association)が1990年代の最優秀映画を選出する投票をおこなったとき、同作は堂々の第6位に選ばれている。 1位 『シンドラーのリスト』(93 監督/スティーブン・スピルバーグ) 2位 『プライベート・ライアン』(98 監督/スティーブン・スピルバーグ) 3位 『L.A.コンフィデンシャル』(97 監督/カーティス・ハンソン) 4位 『フォレスト・ガンプ/一期一会』(94 監督/ロバート・ゼメキス) 5位 『グッドフェローズ』(90 監督/マーティン・スコセッシ) 6位 『ファーゴ』(96 監督/ジョエル・コーエン) 7位 『羊たちの沈黙』(91 監督/ジョナサン・デミ) 8位 『ショーシャンクの空に』(94 監督/フランク・ダラボン) 9位 『パルプ・フィクション』(94 監督/クエンティン・タランティーノ) 10位 『許されざる者』(92 監督/クリント・イーストウッド) ◆余波ーテレビドラマ版『ファーゴ』への発展 作品が初公開されてから、すでに25年の月日が経ち、この『ファーゴ』をテレビシリーズで認識している人も多いだろう。 シーズン5まで展開したこのテレビ版『FARGO/ファーゴ』は、68ページの企画用プロットがコーエン兄弟の目にとまり、すぐにエグゼクティブ・プロデューサーとして契約するといったミラクルな経緯を持つ。その出来はジョエルとイーサンが「読んでいて不気味な感じがした」というほど切実なものだったのだ。原案と脚本を手がけたノア・ホーリーは映画と同様、現実に思わせそれを越境した奇異なストーリーを開発したコーエン兄弟に賛辞を惜しまない。「コーエン兄弟は映画のルールにこだわらなかった。だから私たちはテレビ番組のルールにこだわる必要はなかったんだ」(*) 映画版を主旨よく拡張させたバージョンとして、接する機会があれば観てほしい副産物だ。■ 『ファーゴ』© 1996 ORION PICTURES CORPORATION. All Rights Reserved
-
PROGRAM/放送作品
ビッグ・リボウスキ
[R15+]愛すべきダメ男が予期せぬ騒動に巻き込まれる!コーエン兄弟作品の不条理コメディ
コーエン兄弟作品らしい風変わりなキャラクターたちが入り混じり、人間の滑稽さが浮き彫りになっていく不条理コメディ。奇妙な出来事を連続させながら本筋の事件から逸脱していく、独特の緩い語り口がクセになる。
-
COLUMN/コラム2009.07.21
ただのファミリー映画と思ったら大間違い。お母さんのような『シャーロットのおくりもの』
私、大きな勘違いをしてました・・・。 『シャーロットのおくりもの』の “シャーロット”は少女もしくはブタの名前で、ダコタ・ファニング演じるシャーロットがブタに奇跡を起こしたとか、ブタのシャーロットが内気なダコタを変えたとか、いかにもファミリー映画っぽい物語を想像していたんです。ところがそれは全くの見当違い。ブタでも少女でもないシャーロットの正体に、良い意味で裏切られてしまったのです。シャーロットは、クモです。さらに、本作は少女とブタの愛情物語でも、牧場世界のハートウォーミング(←最近、使わない?)ムービーでもあまりせん。この作品は、クモのシャーロットが起こす、奇跡の物語なのです。子供よりも大人、とくに妊娠中とか子育て中の方にこそ薦めたい、一種の自然科学チャンネルを観ているかのような、生命について考えるきっかけをくれる映画です。ブタが登場する映画と聞いて『ベイブ』シリーズを思い浮かべてしまった私は、「しゃべるブタ=のどかな牧場映画」という物語を安易に想像してしまったのですが、とんでもない。『シャーロットのおくりもの』に登場する雄ブタ、ウィルバーが預けられた牧場に生きる動物たちは、いずれ殺されて人間に食べられる運命。毎日を楽しむ方法を探そうともしていない、のどかとは掛け離れた様子。そんな状況なので、本作に登場する動物たちはシリアスなトークを繰り広げます。牛「体が大きくなったところで、どうせ奴(人間)は僕らを食べるんだよ」やら、牧場にある不気味な建物を指しながら、馬「あそこに君も連れてかれるよ。そしてこの世とはおさらばさ…」みたいな言葉でウィルバーを脅したりと、非常に暗いのです。そんな暗~い牧場の入り口に垂れ下がる一匹の雌グモが、シャーロット。「誰かの食事のために殺されるなんて真っ平だ!」と愚痴を言うばかりの動物たちは、シャーロットに「見醜い」「平気で虫を食べるなんて」と毎日のように悪口を浴びせるものの、シャーロットはとても利口で、弱肉強食の世界を深く理解している。生きる為に虫を食すことを厭わない代わりに、「いただきます」「ごちそうさま」の言葉を欠かさないなど、牧場で暮らす動物たちよりもオトナです。そんな嫌われ者のシャーロットを、ウィルバーが美しいと褒めたことがきっかけで、二人(?)はかけがえのない友達になります。牧場の動物たちは、口を揃えて「自分たちが食べるために僕らを育てるなんて、人間は勝手だ!」と言います。たしかにその通りよね、と人間である私も彼らの意見には激しく同意するのですが、シャーロットはそんなヒトのエゴとも言えそうな行為でさえ、生き物が子孫を残すためには仕方ないと達観しているのです。シャーロットは偉いなあ。でもそんなシャーロットでも「ウィルバーが食べられるのは嫌」と、彼を助けるためにある方法を思いつきます。いくら仕方ないとは言っても、大切な人(?)が食べられるのは阻止したいと健気に想う様子が、人情(??)に溢れていて感動的なのです!シャーロットは自分より何百倍も大きなブタを救うため、クモだからこその表現方法で、その健気な気持ちを人間に伝えます。どのようにしてウィルバーを救うのかは、観てのお楽しみ。ところで、素敵なクモ、シャーロットの声を担当しているのはジュリア・ロバーツ。普段から口が大きいことをからかわれがちな彼女が『シャーロットのおくりもの』で担当したのは、登場生物の中で一番口の小さいクモでした…という冗談はさておき、そんな小さなクモの口から存在感ある彼女のセクシーボイスが囁かれることで、シャーロットが話す一語一句がより強く心に響きます。「食事ができることに感謝しなさい」「いただきます、言った?」と、実家の母のようにお説教をしてくれるシャーロット。私たちは生命を食べるから生きていて、それでこそ生命が連続していくことを『シャーロットのおくりもの』は教えてくれるのです。(韓 奈侑) COPYRIGHT © 2009 BY PARAMOUNT PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.
-
PROGRAM/放送作品
秘密兵器リンペット【町山智浩撰】
町山智浩推薦。スティーヴ・ブシェミ瓜二つのさかなクン男が魚に生まれ変わった…この映画の裏テーマは!?
町山智浩セレクトのレア映画を町山解説付きでお届け。スティーヴ・ブシェミ似のドン・ノッツ主演。主人公が死に、魚に転生後の海中パートはアニメで描かれる。子供でも楽しめる本作、裏テーマは「SEXの相性」!?
-
PROGRAM/放送作品
俺たちスーパーマジシャン
ジム・キャリーの顔芸が久々に炸裂!体を張ったギャグで披露する奇想天外なマジック合戦の勝者は?
デヴィッド・カッパーフィールドら現役のマジシャンが監修を務め、奇想天外なマジックの数々は本格的な仕上がりに。ジム・キャリーの顔芸などで爆笑を巻き起こす一方、再起と友情のドラマで感動も誘う。
-
PROGRAM/放送作品
エスケープ・フロム・L.A.
アイパッチ姿のアウトローが15年ぶりに復活!鬼才ジョン・カーペンター監督の痛快B級アクション
1981年のカルトSFアクション『ニューヨーク1997』の15年ぶりの続編。鬼才ジョン・カーペンター監督によるB級精神あふれるアイデアと、カート・ラッセルの無骨なアンチ・ヒーローぶりが相性抜群。
-
PROGRAM/放送作品
スパイキッズ3:ゲームオーバー
ジョージ・クルーニー、イライジャ・ウッドまさかのゲスト出演!過去キャラも全員集合!!豪華完結編
多芸監督ロドリゲスついに製作・監督・脚本・撮影・美術・音楽まで担当。アラン・カミング、スティーヴ・ブシェミと続いたゲスト怪人役にはスタローンを起用。さらなるパワーアップを果たした第3弾!
-
PROGRAM/放送作品
ゴーストワールド
おしゃれでキッチュでどこか切ない青春模様。人気・個性とも若手屈指の女優2人の魅力に首ったけ
人気急上昇女優S・ヨハンソンと実力派T・バーチが、今どきのティーンを演じた青春映画。彼女たちのおしゃれでキッチュなファッション、さらにオタク中年男を悲哀タップリに体現するスティーヴ・ブシェミは必見。
-
PROGRAM/放送作品
(吹)シャーロットのおくりもの
命の尊さ輝く奇跡のファンタジー! ブタのウィルバーとクモのシャーロットの感動の友情物語!
23ヵ国、4500万人の読者に愛される児童文学の最高傑作を映画化! アメリカの名子役ダコタ・ファニングと動物たちの名演技に感涙必至の名作! 文部科学省選定・厚生労働省社会保障審議会推薦作品。